先日、マイクについて1、2、3、4について書きました。
今回はその続きで、オーディオインターフェイスとマイクロホンについてです。
オーディオインターフェイスの多くは、ライン入力、
マイク入力、ギターなどのHi-Z入力が用意されており、
その接続にはギター入力Hi-Zの記事で書いたように、
「ロー出し/ハイ受け」の原則に従い、
インピーダンスを合わすことが大切です。
これに加え、インターフェイスとマイクの規定入力レベルにあった
マイクを利用する(組合す)ことも必要です。
レベルが合っていない製品を接続すると録音した音が小さく、
ノーマライズやコンプレッサー等で音量を補正した際に、
ノイズまで一緒に持ち上げてしまったり、ペラペラな音で
録音されてしまいます。
では、レベルの合った製品を選ぶとはどういうことでしょうか。
私の手持ち機器 TASCAM US-144MKⅡを例に説明していきます。
まず、オーディオインターフェイスの規定入力レベルを確認します。
マイク利用時:
入力インピーダンス:2.2kΩ/規定入力レベル-58dBu~-14dBu
ライン利用時:
入力インピーダンス:15kΩ/規定入力レベル-40dBu~+4dBu
HI-Z利用時:
入力インピーダンス:1MΩ/規定入力レベル-51dBV~-7dBV
このようになっています。
私のギターは全てパッシブタイプのハムバッカーピックアップなので、
500kΩのトーンポットが付いています。
I/O(インターフェイス)がHi-Z利用時で1MΩ、ギターが500kΩ。
「ロー出し/ハイ受け」になっていますね。
前回までのおさらいでした。(^^;
それでは、マイクについてですが、ダイナミック型マイクの
代表格であるSHURE SM58を例にしてみます。
この「SM58」の感度は、-54.5dBVです。
補足ですが、
dBuとdBvは0.775vを0dBu/0dBvとしています。
dBVは1vを0dBVとしています。
よって、大文字のVと小文字のvでは意味合いが変わります。
SM58の-54.5dBVをdBuに変換します。
dBVの値に2.2を加えるとdBuに変換できます。
SM58 は、-56.7dBuとなりました。
US-144MKⅡのライン入力は、-40dBu~+4dBu(MIC/LINE時)なので、
SM58では、信号が小さすぎることになります。
では、SM58を標準プラグのライン入力ではなく、
キャノン(XLR)接続のマイク端子に接続してみます。
US-144MKⅡのマイク入力は、-58dBu~-14dBuですので
SM58の-56.7dBuは規定入力範囲に収まっており利用可能です。
すなわち、US-144MKⅡとSM58の組み合わせでは、
標準プラグのライン入力を利用せず、キャノン(XLR)端子の
マイク入力端子を利用する。
これが、接続の「正解」となります。
写真では、切り替えスイッチで「INPUT R」を
[MIC/LINE]か[GUITAR]を選択できます。
マイクが標準フォーン(TRS)であっても、
端子の表示には[LINE/GUITAR]とあります。
一見、切り替えスイッチで標準フォーンプラグのマイクが
使用できると思いがちですが、これは機器内部のインピーダンスを
切り替えるもので、規定入力レベルを考えると、マイクの接続は
キャノン(XLR)接続でなければならないのです。
マイク録音で音量が小さい、ノイズが多い、音がペラペラ、
高価(有名)なマイクなのにイメージと音が違う。
このような場合は、インターフェイスやミキサーの
規定入力レベルとマイクの感度に問題があるのかも知れません。
何かの参考までに。