先日、ギター入力 Hi-Z(リンク付)を書いた時に
ダイレクトボックスについて触れました。
今回は、ダイレクトボックスそのものについて書いてみます。
パッシブタイプのピックアップを搭載するギター、ベース及び
インピーダンスの高いアクティブタイプのピックアップを搭載している
ギター、ベースをHi-Z端子(ハイインピーダンス用入力端子)を持たない、
オーディオインターフェイスやミキサーに接続する際に必要となる機器です。
最近のDTM用途のオーディオインターフェイスは低価格な品を含め、
多くの製品はファンタム電源とHi-Zを有していますが、ミキサーでは
搭載していない機器もあります。
なぜ、ダイレクトボックスが必要なのかは
先日のギター入力 Hi-Zを参照ください。
ダイレクトボックスには、パッシブ型とアクティブ型があり、
パッシブ型では5,000円前後、アクティブ型では10,000円前後の価格帯です。
パッシブタイプは、電源が不要な変わりに周波数特性が
アクティブ型と比較し分が悪くなります。
機器によっては音質が若干変化していると感じる場合もあります。
アクティブ型はトランジスタを使用しているので電源が必要です。
電源は9V電池又はファンタム電源を利用できる機器があります。
トランジスタを利用する事で周波数特性は良好です。
機器によりますが、20Hz~40kHzの特性となります。
デメリットとしては、電源を使用しますので、
電源周りからのノイズの影響を受けること、
楽器からの不要なノイズまで持ち上げてしまう可能性があることです。
昨日のケーブルの品質(リンク付)で書きましたが、
購入時に付属していたギターケーブルよりも、
1ランク以上上のOFCを採用したケーブルを使用するなどして、
ケーブルからのノイズ混入を防ぐことが大切です。
ダイレクトボックスの機能は大きく2つ。
一つは、ハイインピーダンスをローインピーダンスにインピーダンス変換すること。
一つは、不均衡(アンバランス)を均衡(バランス)にすること。
通常、ギターケーブルはアンバランスケーブルです。
「バランスとアンバランスの違いは何か。」
ダイレクトボックスの機能や機器の電位差によるノイズ、
アースループを知る上で、この違いを知っておくと
理解が得られやすいと思います。
まず、バランスケーブルとは。
コードの中身がホット(+)、コールド(-)、グランド(アース)が
別になっているコードを指します。
非常に安定しており、ノイズに強い性質があります。
一方、アンバランスケーブルは、ホットと「コールド+アース」です。
テレビの75Ωアンテナケーブルやギターケーブルをバラしてみると、
中央に芯線、それを絶縁体が取り囲み、網線がある構造です。
芯線がホット、網線がコールドとアースを兼用しています。
LANケーブルは、アンバランスケーブルでノイズに弱いですが、
構造を「UTP」とすることでノイズ耐性を強化しています。
ちなみに「UTP」とは「Unshielded Twisted Pair」、
非シールド(Unshielded)より(Twisted)対(Pair)線です。
LANケーブルのように長距離に及ぶ接続の場合はUTPが有利です。
ツイストペアケーブルの特性として放射ノイズ(コモンモードノイズ)に
非常に強い性質があります。
アンバランスマイクケーブルも、中身を4芯撚線(ツイストペア)と
することで、長距離の接続によるノイズ耐性を強化しています。
デジタル信号を伝送するコードも同じです。
AES/EBUは、 XLR(キャノン)コネクタを利用したバランス型伝送方式、
S/PDIFは、同軸またはオプティカルケーブルを利用した
アンバランス型方式ということができます。
私の耳には違いが判りませんが。(^^;
話をダイレクトボックスに戻します。
この不均衡(アンバランス)を均衡(バランス)にするのも
ダイレクトボックスです。
では、実際のダイレクトボックス「BOSS DirectBox DI-1」の
入出力端子やスイッチはどうなっているのか。
実物を持っていないので、文章のみとなります。(^^;
ギターよりのアンバランス入力は、インピーダンスの変換が
行なわれ、不均衡(アンバランス)から均衡(バランス)に変換され、
XLR(キャノン)コネクタよりバランス出力されます。
ギターよりのアンバランス入力は、インピーダンスの
変換が行なわれ、標準プラグのアンバランス出力に出力されます。
ギターよりのアンバランス入力は、そのまま標準プラグ出力に
出力されます。俗に言う「スルー端子」の様なものです。
大きくは。この3方式に対応します。
その他の機能として、
インピーダンスはアッテネーターにより3種類から選択できます。
バランスアウトのホットを2番ピンか3番ピンにするかを選択できます。
アンバランス入力のコールド及びアースをバランスに変換して流す際に、
アースループによりノイズ(ハムノイズ)が出る場合に絶縁します。
9V電池の他にインターフェイスやミキサーからのファンタム電源を利用できます。
これらの役割を担うのがダイレクトボックスです。
例えば、オーディオインターフェイスを利用せず、
PCのサウンドボードの標準フォーン端子等を利用して
ギターの音をダイレクトに録音する際などにも、
インピーダンスを合わす為にダイレクトボックスが必要となります。
何かの参考までに。
コメント
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ちょっと気になったもので失礼します。
> 「UTP」とは「アンバランスツイストペア」です。
UTP は Unshielded Twisted Pair ですよね。単なる平行線ではなく、撚り対線にすることで、そこを流れる電流によるノイズを出しにくく、また、外来ノイズを受けにくくする効果があります。"Unshielded" なので、シールドはされていません。
ツイストペアケーブルでシールドされているのが STP (Shield Twisted Pair) です。対線がシールドされていて、LANケーブル両端のコネクタもメタルシールドされています。このコネクタをきちんとアースしないと、UTPよりかえってノイズが乗ると言う諸刃の剣(笑
以上、御参考まで。
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通りがかり さんへ。
ありがとうございます。(^^)
バランスとアンバランス接続のことを書いていて
ごっちゃになっていました。本文を訂正させて頂きます。
長文の記事を細かく読んで頂いて感謝致します。(^^)