2025年9月13日に発売されたBOSS Plugout FX PX-1
BOSSのペダルは「ボス臭い」というアンチもいれば「簡単に良い音」と言う人もいます。価格も標準で初心者にも手が届きやすいペダルが多いですし、名機と言われるペダルを数多く生み出してきたメーカーです。
そんなBOSSの新製品であるPX-1ですが知った時は「???」と正直思いました。
私は必要ありませんが皆さんはどうですか?
BOSSとは?
今更ながらですが、BOSSとはどのような会社なのか。
BOSSは1973年設立。
大阪で創業されたギター、ベースのエフェクターを主に開発していたメグ電子株式会社が前身です。
エフェクター第1号機は1976年発表のコーラス「CE-1」。
これは有名かつ今でもプレミアが付く程の人気です。
そして1977年にコンパクトエフェクター第1号機として「OD-1」が発売されました。これは世界初のオーバードライブペダルでした。
これまたプレミア価格で人気です。
BOSSの名前の由来は都市伝説として「ボス(上司)を踏みつけるような感覚を」と言われています。
二段式アルミ・ダイキャスト・ボディと10万回耐用テストをパスしたペダル・スイッチは憎たらしい上司を想像して思い切り踏みつけても壊れないということでしょうか。
社名の理由、これが都市伝説だとしてもなかなか面白い会社だと思いました。
2018年に親会社のROLANDと合併しBOSSは会社として解散こそしていますが、ブランドとしてROLANDで引き継がれています。
もともとメグ電子はROLANDの研究・開発を行っていたので旧知の仲の会社同士だったのでしょう。
BOSSについて付け加えると
「今までになかったサウンドを追求していく」が思想としてあり、先進的な技術で新しい製品を数多く世に送り出しています。
そのことから復刻版というものにあまり積極的でないイメージがありましたが、技-WAZA CRAFT-発表の際に「我々はBOSSを破壊し、BOSSをもう一度つくりあげます」のキャッチコピーで技シリーズが登場しました。
リメイク的な側面もあったことから純然たる復刻ではないのでプレミアが付いた当時の個体でしか味わえない「名機」がBOSSのブランド価値を上げていることも確かです。
もちろんマルチエフェクターの中にはモデリングされた名機たちは存在しているのですが・・・。
そこで今回登場したのが「PX-1」です。
PX-1について思うこと
まずはその価格です。
税込38,500円で流通していますが、後に記しますが購入当初から使用できるエフェクトが16種類です。
これを安いと捉えるか高いと捉えるかは人によって異なるでしょう。
名機を所有しておらず、これらに興味のある場合は、伝説の名機を16種類も堪能できる。
名機をいくつか所有していれば、実機の故障や盗難の心配が無くなる。
名機の製造メーカーが本気で作った専用機のPX-1ですから、いくらBOSS製のマルチエフェクターに搭載されているモデリングされた名機の音よりも実機に近いことが容易に想像できます。
このような場合は「安い」と思われるでしょう。
反面、BOSS製品や他社のマルチエフェクター等に搭載されているモデリングでも全然構わない場合、PX-1は「高い」となるでしょう。
ZOOM製のマルチストンプ MS-200D+ なら13,900円で200種類の歪みエフェクターが内蔵されています。
それらと比較するとPX-1の割高感は否めませんが、忠実にモデリングし再現された名機の音や挙動にどれだけの価値観を認められるかがポイントとなるでしょう。
PX-1のホワイトカラーは何にでも染まる筐体ということでホワイトなのでしょうが、もう少し価格なりの高級感あるカラーが良かったと個人的には思います。
音で勝負と言われればそれまでですが、所有欲ということもございます。
淵がブルーのカラーノブも少々チープに感じるというか高級感を感じないというか所有欲が出ないというか。
グラフィックLCDも128×48ドットというのも価格を考えると。
変にボディーカラーを付けてPX-1に同色系列のエフェクターの印象を与えるより潔いということもありますが。
価格が税込38,500円で購入当初のエフェクター数は16種類ということですが、今後追加されるということや、中身はぎっちり4枚(4層?)基盤で技術が詰め込まれていることを考えると決して高くはない価格設定だとも思います。
PX-1購入当初エフェクター
OD-1 OVER DRIVE 1977年
SP-1 SPECTRUM 1977年
PH-1 PHASER 1977年
SG-1 SLOW GEAR 1979年
CS-1 Compression Sustainer 1978年
TW-1 T Wah 1978年
SD-1 SUPER OverDrive 1981年
DS-1 Distortion 1978年
CE-2 Chorus 1979年
BF-2 Flanger 1980年
PN-2 Tremolo/Pan 1990年
OC-2 Octave 1982年
PS-2 Digital Pitch Shifter/Delay 1987年
VB-2 Vibrato 1982年
DD-2 Digital Delay 1983年
DF-2 SUPER Feedbacker&Distortion 1984年
このうちSD-1とDS-1は現在も発売されている現行品ですが、DS-1は2001年より復刻再版されたBOSSでは珍しい機種となっています。
専用アプリで登録できるエフェクター
先の16種類のエフェクターのうち、Rolandアカウントを作成して専用アプリから登録できるエフェクターを列挙してみます。
CE-2
BF-2
PN-2
OC-2
PS-2
VB-2
DD-2
DF-2
このように、1型番は当初からPX-1に搭載されており、2型番はアプリから追加でインストールする構成で合計16種類ということです。
今後追加されるラインナップ
BOSS Effect Loaderアプリから購入することができる「モデル・パス」でエフェクターが追加されていきます。
2026年1月に3つのモデル・パスが登場予定となっているようで、それぞれが1,000円ということです。
OD-2 TURBO OverDrive 1985年
DM-2 Delay 1981年
DC-2 Dimension C 1985年
ソフトウェア版も存在します
2025年5月16日にROLANDから「BOSS Effects Pedals」が発売されています。
これはMacOSやWindowsで動作するVST 3.7(64bit)、AU、AAXアプリケーションです。主にDAWで利用することが想定されています。
初期のエフェクターがPX-1と同じなので同じアルゴリズムで開発され、ソフトウェアで動作させる「BOSS Effects Pedals」、実機で動作させる「Plugout FX PX-1」ということでしょう。
ソフトウェア版の構想が先であったか、実機での構想が先であったか、またはソフトウェアでもハードウェアでも同じアルゴリズムが動作するよう最初から構想されていたのかはわかりませんが、同じエフェクトを扱えるPX-1のソフトウェア版ともいえる「BOSS Effects Pedals」も発売されています。
懐かしい名機です
私がエレキギターを始めたのは恐らく1988年だったと思いますが、その頃はまだ市場在庫の名機の一部は楽器店に並んでいた時代です。
今回のPX-1に内蔵される(予定含む)エフェクターのうちSD-1 SUPER OVER DRIVE とOD-2 TURBO OVER DRIVEは実機が手元にありますが当初のものではもちろんありません。
過去に所有していたものでは、
DS-1 DISTORTION
DF-2 SUPER FEEDBAKER & DISTORTION
DD-2 DIGITAL DELAY
PS-2 DIGITAL PITCH SHIFTER / DELAY
DC-2 DIMENSION C
BF-2 FLANGER
このくらいでしょうか。
現在手元にあるSD-1もOD-2も当時使ってはいましたが手放したので、最近買いなおしたり中古で見つけて購入したものです。
結構、名機と呼ばれる機種を昔使っていたのだと思いました。
PROCO RATも何度購入したり手放したりを繰り返したことか。
Tube Screamerも。
一周回ってなんとかっていうやつですかね。(^^;
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