音楽を聴くということ。
それは無音を基本としているのかもしれません。
騒音の中で音楽を聴くことを好む人は少ないでしょう。
絵の上に絵を書かないように。
譜面の中に「休符」というものがあります。
これは読んで字の如く休みを表す音符ですが、
楽器を弾く手を休めるだけで良いのでしょうか。
音楽は無音の上に描かれていると解釈するならば、
休符は「無音を聴かせる」為の音符と考えることもできます。
音階、音量の無い音を指示する音符が休符なのでしょうか。
ppp(ピアノピアニシモ)という強弱記号は、
音量の強弱ではなく弾く強さを表している記号ですが、
pppを聴くためには静寂が必要となりますし、
無音(休符)を聴かせるとなればやはり音楽の下地は無音となります。
演奏者の息づかいが聞こえる。
観客の鼓動が聞こえる。
そんな言葉を耳にすることがありますが、
どんなホールでもスタジオでもフロアノイズがあるので、
実際に聞こえた訳ではないと思います。
フロアノイズとは空間に存在する環境音(ノイズ)で、
ノイズフロアは無音状態でも機器から発生しているノイズです。
なぜ息づかいや鼓動が聞こえるという言葉があるのでしょうか。
多分、それは人の想像力から作られた例えか空耳なのでしょう。
言いかえれば、休符は聴く側に想像力を提供する音符と
いうことができるでしょうか。
そして曲の最後にある休符。
この後に続くものはフロアノイズです。
演奏が終わった瞬間に訪れる静寂。
次の瞬間には拍手や喝采に踊る観客による
フロアノイズが聞こえてくるのでしょう。
作曲者は演奏者、観客に演奏後のフロアノイズを聴かせる為に
曲の最後に休符を持ってくることがあるのでしょうか。
そうであるなら、休符は使用する位置によっては、
単なる休みでも余韻や無音を聴かせる音符でもなく、
ましてや想像力を働かせる場所の指定でもなく、
感動を示した音符となるのでしょう。
そんな音符が休符というものなのでしょうか。
もし私が曲を作り、その曲の最後に休符を用いたら。
その休符の後には何が続くのでしょう。
少なくとも感動とは対極に位置するものです。
考えると寒気がします。(^^;
音符のなかで一番怖いのは16分3連の音符ではなく、
実は休符なのかもしれません。
オーケストラの譜面を見ていたら、休符について
いろんなことが頭の中に浮かんできました。
コメント
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休符を「感動を示した音符」という捉え方は私に新しいです。
死んだ画家の叔父が「在るものを在るものとし、無いものを無いものとして描く」と言っていた。
その言葉を音楽に当てはめて考えることが時々あります。休符は正に無いものを描いているのでしょうか。
叔父の言葉が、背景の設定を意味するのか、在るものを無いものとして描くのか、、未だに色んな意味に感じているところです。
珍しいことに三連符の休符を見たことがあります。四分休符で済むところをです。作家の意識はそうなんだと感じました。
話が長くなるので割愛しますが、休符の存在の意味や大切さを私も考えることあります。
良い話を聞きました。
もし良ければ、編曲は「加算」なのか「減算」なのか、、友人と討論したことがあるんですよね。
OVERTONEさんの何か気持に触れた時にでも記事にして頂けるといいのですが、、。
私的には、出来てはいませんが「減算」と思っているんです。
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ロッシーさん、こんにちは。
「無いものを無いものとして描く」良い言葉ですね。
空間や瞬間を描く絵画にあっては「有色の存在」や
「無色の存在」についての考え方なのでしょうか。
音楽にあっては休符によって残響が聞こえてきます。
在ることによって聞こえないものが
無いことによって聞こえてくる。
【無いものを「無いものとして『描く』」】
こう区切れば休符で残響を聴かせることに近いのでしょうか。
ダメですね。(^^)
私には言葉の奥が深すぎて
一片の端くらいしか読み取れません。(^^;
休符=次の音符への期待=聴く側の高揚を呼ぶもの
休符=前の音符の残響を聴かすもの
そして曲の一番最後の休符は感動だと思っています。
フェルマータやリフレインで終わる曲より、
バンッと休符で終わった方が例えCDで聴いているのであっても、
心の内に生まれる感動が大きいように思います。
何かが無くなることによって、
別のものが必然的に生まれるのでしょうか。
それとも音と心は均衡を保っているのでしょうか。
私の曲では何をやっても全く話にもなりませんが、
完成度の高い曲ではそうであるのかなと思っています。
考えれば考えれるほど様々な考えが浮かんでは消えを繰り返し、
結局最後は私自身の考えすら判らなくなるのです。(^^;
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深い記事ですね、色々考えさせられました。
私は休符=息を吸う所ではないかなーと考えます。
曲中ではリズムの呼吸感だったり、展開への焦らしだったりしますが、曲終わりの休符は「音楽から感動への息継ぎ」というのはどうでしょう?
クラシックコンサート等では、休符を演奏し終わって指揮者や演奏者の肩が下がった時に拍手が起こっている気がします。
私はベースを弾くのですが、休符の演奏(表現?)がうまいベーシストこそ本当の上手いベーシストだと思っています。
上手いベーシストの演奏を聞いていると休符なのにクレッシェンドやデクレッシェンドまで感じる気がしてなりません。
当然前後の音との関係等が原因なのでしょうが、休符は楽譜上で一番奥の深い記号ではないでしょうか。
DAWでもそのうち休符のシュミレーターなんかが出てくる時代が来るかもしれませんね。
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しろくろ さん、こんばんは。
音符でいう「休符」は随分と昔から使用されていて、
今の音楽では意味合いが幾つかあるように思います。
一つは無音の休符。
一つは裁量によって任せられた空間。
この空間には意図的なゴーストノートが来る場合もありますね。
休符は直前のサステインをどこまで持ってくるかで
印象も変わってきますし、案外難しい音符なのであります。
特にDTMで打ち込みを行う場合は
機械的になってしまうので特に気を使います。(^^;