Dynamic rangeとkHzとbitの関係で書いていますが、
リニアPCMでは1bitで6dBのダイナミックレンジとなります。
ダイナミックレンジとは簡単にいうと最大音と最小音の理論上の差です。
44.1kHz/16btのCDでは、
1秒間に44,100回サンプリングし、その音を65,536段階で記録しており、
記録できる高域の上限は22kHzでダイナミックレンジは96dBです。
0dBをピークとすると理論上のノイズフロアは-96dBといえます。
しかし実際のノイズフロアは機器に依存します。
機器に何も入力のない状態で出力に乗っているノイズが
その機器のノイズフロアレベルであり、それ以下の音は
ノイズにマスキングされ、聴くことは出来ません。
これが機器のノイズフロアレベルです。
ここまではノイズフロアについて書きました。
ここからはフロアノイズについてです。
フロアノイズはその空間に存在するノイズです。
楽器の音圧で表にまとめていますが、
録音スタジオの中でも30dB前後のノイズがあります。
私が普段使っているオーディオインターフェイス UR28Mの
ダイナミックレンジは 106dB、先日購入したマイクプリアンプ
TA-1VPのダイナミックレンジは 100dB以上(120dB?)です。
ここからは機器のダイナミックレンジを100dBとします。
最初の記載に戻るとCDのダイナミックレンジが96dBなので、
既にオーバースペックです。
人の聴覚は概ね20Hz~20kHz、
120dB~130dBのダイナミックレンジを持っています。
24bitのDVDオーディオでは、24bit×6dB=144dB
このことから、ナイキスト周波数も考えると
44.1kHz/24bitが人に丁度良いスペックのような気がします。
しかし、1秒間に44回のサンプリングでは
急なピッチの上下や音量の上下があると正確に記録できないので、
耳の特性から最大周波数を考えれば44.1kHz(ナイキスト周波数によって22kHz、
LPFの特性を考慮したCD-DAの規格によって上限は20kHz)で足りますが、
サンプル回数としてはもう少し多い方が良いのかもしれません。
しかも、DAWで44.1kHz/16bitで作成し、44.1kHz/16bitで書き出すのと、
48kHz/24bitで作成して、44.1kHz/16bitで書き出すのでは、
最終は同じ44.1kHz/16bitでも音質がことなるので悩ましいところなのです。
最近購入したコンデンサマイク AT4040のS/N比は82dB以上です。
我が家には防音室があります。Dr-30です。
実際には全ての周波数帯域において-30dBではなく、
規格によって周波数ごとに透過損失レベルが異なりますが、
ここでは便宜上、一律に-30dBと考えます。
マイクのダイナミックレンジは82dBとしても、
防音室内のフロアノイズが35dBくらいなので、
差し引くと必要な録音素材は47dBのダイナミックレンジで
録音していることになります。
機器のダイナミックレンジと比較すると非常に低いレベルですね。
47dBといえば1bitで6dBということを鑑みると、わずか8bitなのです。
8bitといえば固定電話の音質と同じです。
実際の固定電話の音は使用帯域やマイク、スピーカーの違いから、
録音したマイクの音と比較すると「電話の音は音質が悪い」でのすが、
bitでいうと同じなのです。
環境ノイズの中ではダイナミックレンジはノイズによる
マスキングによって、仕様書スペックより小さくなります。
ヘッドホンで音楽を聴く場合、フロアノイズも幾分か軽減されると
思いますが、それでもフロアノイズレベルは30dBあたりだと思います。
このように機器の持つスペックは、
現実問題として余程の設備がない限り充分に活かされないのが現実です。
機器のスペックを上げると録音環境も改善しないと活かされない。
環境を改善すると、それを活かせる機器にしたくなる。
私の様に単なる趣味の場合には、どこかで折り合いを付けないと
投資し続けることになってしまうのです。(^^;
スペックを気にして高価な買い物をするよりも、使用環境に見合い、
自分の気に入った音の機器を選ぶのが一番なのであります。
スペックは説明のとおりですが、メーカーの謳い文句も
実は根拠のないあやふやな主観レベルの感想をもとにしたものも多いです。
気にいった音のする機材がたまたま高かった。
それもあるでしょうし、安い機材の方が自分の好きな音だった。
これもあるでしょう。
実際にツアー中のホテルの部屋でDTMで曲を作り、
ボーカル録りもしたCDが売られているのです。
もちろんプロの方ですが、名前は失念しました。
本人曰く、そのCDをよく聴くと隣の部屋のベルの音が
微かに録音されているとか。(^^)
現在、マイクプリアンプのTA-1VPを
オーディオインターフェイスUR28Mに同軸で
デジタル接続していますが、クリア過ぎるので
TRSでアナログ接続にしようと思っています。
ダイナミックレンジが高すぎると
その楽器だけ浮いてしまうこともあります。
DAWでサミングアンプをわざわざ通す手法も、
デジタル特有の飽和感を軽減するためだと思います。
高解像度が全て良しという訳でもないというお話でした。
何かの参考までに。
コメント
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おはようございます♪
今回も、
とても参考になる内容です(^^)
曲ジャンルや曲調にもよるのでしょうけど、
最近は「音圧ありき」の傾向にあると、
ネット上でも盛んに言われていますね。
僕も、最低限の機材環境ですし(^^;
高い物よりは、気に入った物、派です(^^)
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HA-ROOKIE さん、こんにちは。
音圧を上げるとダイナミックレンジが狭くなるので、
抑揚感がどうしても乏しくなってしまいます。
DTM関連の雑誌も音圧について書かれている号は、
早くに書店から消えているので売れているのでしょう。
値段は需要によって左右されることもあるので、
原価・販売費用と適正粗利を鑑みれば、
結構高めの価格で販売されている商品もありますね。(^^;
気に入った機材が一番なのであります。(^^)
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なるほど~。
参考になりますです。
一方の機材が良すぎてもダメなんですね。
釣り合いが取れてないといけないんですね。
(ノ゚ο゚)ノ オオォォォ-
納得!!
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m20ritsu さん、こんばんは。
車と同じですね。(^^)
エンジンだけ、ブレーキだけ、タイヤだけみたいに、
どこかが際立った性能でも、全体では運転しずらい
車になってしまいますね。
楽器も機材もたぶん一緒かなと。(^^)