弦楽器で倍音を出す奏法をフラジオ レット(flageolet)とも言いますが、
今回はナチュラルハーモニクスのポイントについて書いてみます。
「倍音について」で、第16倍音までどんな音が鳴っているかと、
根音Cを例として実際の倍音の音程について書きました。
今回はおさらいです。
ギターでナチュラルハーモニクスが出るポイントを挿し絵で作ってみました。
正確には「出やすいポイント」です。
2フレットの3フレット寄り/第8倍音(3oct)
3フレットの4フレット寄り/第6倍音(2oct完全5度)
4フレットの3フレット寄り/第5倍音(2oct長3度)
5フレット/第4倍音(2oct)
7フレット/第3倍音(1oct完全5度)
9フレットの8フレット寄り/第5倍音(2oct長3度)
12フレット/第2倍音(1oct)
16フレットの15フレット寄り/第5倍音(2oct長3度)
19フレット/第3倍音(1oct完全5度)
24フレット/第4倍音(2oct)
フレットは平均律、ハーモニクスは純正律なので、
この誤差が大きいポイントではフレットの真上ではない場合があります。
これを知らず、ギターを始めた頃の私は
9フレットの真上でハーモニクスを出そうとしてよく失敗していました。
このズレは実際に体験した方が理解が得やすいです。
紐(ひも)を用意してナットの終りの部分から
ブリッジの弦が接している箇所で紐を切ります。
この紐を半分に折った状態で印を付けてギターに当てると、
印の位置は第2倍音の12フレットとなります。
基本的に12フレットは、フレットの真上がハーモニクスポイントなので、
紐の印とズレがあった場合は、そもそもフレットの「打ち」場所が
ズレていることになります。
では、フレットの真上がハーモニクスポイントではない
第6倍音を確かめてみましょう。(第5倍音でも良いです)
紐を綺麗に6等分して印を付けます。(第5倍音の場合の印は4つですね)
ギターに当ててみてください。
紐に付けた5か所の印の場所で第6倍音を出すことができます。
(紐に付けた4か所の印の場所で第5倍音を出すことができます)
そして薄い黄色でマスクを掛けた部分は
ハーモニクスの「鬼門」ゾーンです。
倍音を多く含んだ鳴りの良いギターほど危険度は上がります。
挿し絵はあくまで、ナチュラルハーモニクスが出やすいポイントであって、
記した場所以外でもナチュラルハーモニクスを出す事ができます。
問題は、マスクを掛けた部分にポイントが集中していることです。
黄色のマスクの範囲には、ヘッド側から、
第16倍音(4oct)
第12倍音(3oct完全5度)
第11倍音(3oct増四度)
第10倍音(3oct長三度)
第9倍音(3oct長二度)
これらのハーモニクスポイントが密集しています。
このゾーンでパワーコードのスタッカート又はブレイク(休符)をすると、
他のフレットでの演奏より切れが悪いと感じることはありませんか。
ギターはフレットとフレットの間のどこを押さえても、
ブリッジ側に近いフレットに弦が当たって音がでます。
しかし、弦を抑えたままフレットから浮かしてミュートしている時、
そこがハーモニクスポイントなら音が出るという訳です。
スタッカート後の弦振動の余韻。
ブレイク後の振動の余韻。
コードカッティングでのゴーストノート。
これらの時は注意が必要です。
ハーモニクスの出にくいギターでは気になりませんが、
ハーモニクスの出やすいギターでは気になる場合もあります。
また、挿し絵に同じ倍音が出るポイントが複数あることに
疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
既に「紐」のくだりで説明は終わっている感じがしますが念の為。
これはハーモニクスポイントの原理を思えば理解に易いです。
挿絵の一番上は第1倍音ですが、
通常第1倍音は倍音と呼ばず、根音と呼びます。
第2倍音は根音の1/2の位置となるので、
中央のポイントで分断された周波数は根音の周波数の倍になります。
例えば、根音が440Hzなら第2倍音では倍の周波数となるので880Hz。
音程は1オクターブ上がるという訳です。
そして第5倍音の所に矢印を付けていますが、
このポイントならどこでも第5倍音を出す事ができます。
何かの参考までに。
コメント
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「鬼門」ゾーンのハーモニック音が鳴らしにくくて、たまに失敗じゃない、よく失敗しますwww
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TK さん、こんばんわ。
あの鬼門ゾーンって・・・
ピッキングハーモで鳴らしたい時は鳴らず、
鳴らしたくない時はナチュラルハーモで鳴りますね。
私はブレイクの時に、キーンって高い音をよく出して失敗します。(^^;