以前、4kHzの壁という記事で人の聞き取れるのは20Hz~20kHz。
年齢とともに低音側も高音側も可聴範囲が狭くなっていくことを書きました。
また、これらは廃用委縮と自己修復機能の衰え、
細胞の不可逆的な損傷にも関係してきます。
耳の仕組みや難聴については5kHzの谷という記事で書きました。
その際にも触れていますが、
88鍵のピアノという楽器は実によく考えられた楽器だと思うのです。
88鍵のピアノの最低音は A0=27.5Hzです。
最高音は C8=4186.01Hz(4.1kHz)です。
人が音階として聞き取れる音は4kHz付近までとされているので、
およそ聞き取れる範囲全体をカバーしている楽器ということになります。
ちなみに4kHz以上は明るさ、繊細さ、奥行き、空気感などの感覚的な要素や
シンバルなどの高域を使用する打楽器の領域となります。
そういえば、シンバルや(ハイ)ハットには指定された音階がありませんね。
周波数のみでいえば、低音側にもう少し余裕があります。
A0から更に4半音下がったE0が20.6Hzで、
これより下がると19Hz台になってしまいます。
88+4=92鍵盤
数値上ではこのようになりますが、
実際問題としてE0の音を判別することは困難です。
そうしたことから、88鍵となったものだと推測します。
しかし、88鍵となったのは比較的最近のことであり、
バッハの時代では50鍵以下であったと言われており、
これは、その時代の作曲家が使用している音域が
現代のピアノより狭いことなどが理由にあげられています。
もちろん、いつの時代もイレギュラー好きはいるもので、
この限りでない曲も存在しています。
鍵盤楽器という呼ばれ方をされていながら、
弦をハンマーで叩いて発音するという、
弦楽器と打楽器の要素も兼ね備えている
不思議というか完成された楽器。
それがピアノなんだと、
今更ながら再度感心してしまいました。