今回はドラムのスティックワークについて。
DTMは便利です。実際にその楽器が弾けなくても演奏させることができます。
これは、演奏の変わりに音色を発音させるデータを入力するのですが、
機械的なフレーズではなく、人が演奏しているように聞かせる為には、
それぞれ打ち込む楽器の奏法を理解しておくと便利です。
ドラムはご存知のとおり、スティックと足のペダルを使って、
叩いて発音させる打楽器です。
このドラムの打ち込みに表情を付けるために、
今回は音数の多いスティックによる打音に注目します。
右手と左手で交互に叩く(LRLRLRLR…./RLRLRLRL….)奏法で、
パワー感があります。
80年代のロックでは、ドラムのシングルストロークと
ギターのフルピッキングやマシンガン奏法で、
非常にパワフルで疾走感のある曲が数多く誕生しました。
キャプチャは普段使っているCUBASE6ではなく、
機器などにバンドルされているCubaseLE5と付属している
HALionONEを使っていますが、上の図のようにアクセントも無く、
音量が同じであるとどうしても機械的に聞こえてしまいます。
この時、拍のアクセントをどこに持ってくるか。
右手と左手で音量は同じか。
右から始めるか左から始めるか。
こんな事を考えながら打ち込みます。
上の図はアクセントを付けて、途中にダブルストロークで叩いています。
片手で2回叩きます。
最初の図と比べると、最後が右手と左手が逆になっています。
次のフレーズへと続くとき、
どちらの手が最後に来れば良いかも考えます。
この記事の図は、便宜上すべて右手から始めていますが、
前のフレーズを考えれば最初が右か左か決まりますし、
次のフレーズへ移行するときに困難な手が最後に来たときは、
途中にダブルストロークを入れて、最後の手を逆にします。
今回のHALionOneには、スネアにL,Rがありませんが、
専用のドラム音源(VSTi等)には、LとRの別にスネア等の音色が
用意されている場合があります。
EZdrummerではスネア音色がL,Rに分かれています。
このような時は、先程のように手の使い方に注目して
打ち込み(MIDI入力)するとリアリティが増します。
もちろん、労力と時間も掛かりますので、
曲によってはそこまで再現するかどうかも考えます。
上の図は「シングルパラディドル」というものです。
パラ=交互
ディドル=片手で2回
上の図は「ダブルパラディドル」です。
パラ2組、ディドル1組みです。
逆のパターンで「パラディドルディドル」というものもあります。
パラ1組、ディドル2組です。
パラとディドルが逆の「リバースパラディドル」もあります。
ディドルの後にパラがきます。
便宜上、R(右手)を最初に持ってきていますが、Lで始めるパターンもあります。
これらの奏法を組み合わせた基本パターンをルーディメントと言い、
ドラム練習のエクササイズパターンとして様々な組み合わせがあります。
これらの奏法は、高速なシンバル、スネア、タムワークに欠かせません。
奏法やアクセント、音量を考えながら打ち込んでいくと、
ドラムトラックの作成が楽しくなります。
譜面上同じフレーズを異なるドラマーが叩くと「表情が違う」
ということがありますが、これらの組み合わせが異なれば、
聞こえてくる音の印象も変わってくるのです。
この他にも様々な奏法がありますし、ゴーストノートというものもあります。
これを打ち込む事によって更に「生」っぽく聞こえます。
これらは長くなりますので、また後の機会にでも。
実際のスティックワークを考えながらドラムを打ち込むと、
今までより格段にドラムの入力が楽しくなるよというお話でした。
何かの参考までに。