先日よりPCサウンド関連の測定を行ってきました。
過去記事:Realtek ALC888(2011/01/02)
過去記事:VIA VT1828S(2011/01/03)
過去記事:X-FiTitaniumHD
今回はそのサマリです。(長文ご容赦)
前回の測定結果とは別に、再度測定を行っています。
これにより前回と測定結果の誤差がでていますので、
この2つを見ることで、より特性を知ることができると思います。
測定項目の一部抜粋で記載していきますが、その前に測定項目ついて簡単に。
Noise Level:
無音時のノイズです。低い方が良いです。
Dynamic range:
ノイズと音の間隔です。大きい方が良いです。
THD(Total Harmonic Distortion):
信号に無い倍音成分と歪です。低い方が良いです。
IMD(Intermodulation distortion)+Noise:
低音と高音に信号を発信し、その歪とノイズです。低い方が良いです。
では、44.1kHz/16bitから。(下図はサマリです。)
Frequency response 44/16
Frequency response は、Realtek ALC888 が高域まで下がることなく
頑張っています。
VIA VT1828S は、中高域にふらつきが見られます。
X-Fi Titanium HD のアナログは高域が若干落ちていますね。
Noise level 44/16
ノイズレベルは、Realtek ALC888 が残念ながら良くなかったです。
マザーボードに搭載されたものは、低域にノイズが多い結果となりました。
高域では Realtek ALC888 を除いてその差は小さいです。
別途、サウンドボード(カード)を導入する事による改善は低域が顕著ですね。
確かに、実際耳で聞いた音楽も低域の籠り、濁りが改善され、スッキリしました。
Dynamic range 44/16
ノイズレベルと計測結果は似ていますが、VIA VT1828S の 3k-5k 付近の
レンジが低くなっています。
THD + Noise 44/16
VIA VT1828S は入力信号に無い倍音成分が多く荒れています。
前回の測定結果も同じ傾向でありました。
Intermodulation distortion 44/16
これも、VIA VT1828S は入力信号に無い倍音成分が多く荒れています。
44.1kHz/16bit が苦手なのでしょうか。
つぎに、44.1kHz/24bit です。
Frequency response 44/24
Realtek ALC888 は、ここでも優秀です。
Noise level 44/24
ここでも、マザーボードに搭載されたものは、
低域にノイズが多い結果となりました。
Dynamic range 44/24
44.1kHz/16bit と同じく、VIA VT1828S の 3k-7k付近が荒れています。
THD + Noise 44/24
44.1kHz/16bit と同じく、VIA VT1828S の高域が荒れています。
Sound Blaster X-Fi Titanium HD は、アナログ、デジタル共に実に綺麗です。
Intermodulation distortion 44/24
VIA VT1828S の高域が荒れています。44.1kHzは苦手なのでしょうか。
つぎに、48kHz/16bit です。
Frequency response 48/16
44.1kHzで冴えなかった VIA VT1828S が高域まで綺麗な特性を持っています。
Noise level 48/16
Sound Blaster は高額なのであたりまえとして、
VIA VT1828S の低ノイズは好印象です。
マザーボードが ASUS P7P55D なので、ASUS Crystal Sound という
ノイズフィルター機能が良い仕事をしているのかも知れません。
Dynamic range 48/16
VIA VT1828S には、3k-5kにクセがあるのかも知れません。
Realtek ALC888 は設計の良さでしょうか、高域までフラットです。
THD + Noise 48/16
Sound Blaster X-Fi Titanium HD のデジタルが荒れています。
1Kの信号に対し、3倍音、5倍音が強いです。
1kといえばボーカルの帯域付近ですが、ボーカルを強調? ではないですよね。
実音に忠実を目指すならこれはいただけません。
見えますでしょうか。
荒れ狂っているSound Blasterの中でVIA VT1828S が
倍音、歪が少なく大健闘しています。
Intermodulation distortion 48/16
トータルハーモニックディストーションと同じ傾向です。
Sound Blaster X-Fi Titanium HD はどうしたのでしょう?
VIA VT1828S が頑張っています。
つぎに、48kHz/24bit です。
Frequency response 48/24
44kHzで冴えなかった VIA VT1828S ですが、48kHZ は大得意の様です。
Noise level 48/24
Realtek ALC888 の特性は良いですね。
素姓の良いマザーボードに搭載されていればと悔やまれます。
VIA VT1828S は、ASUS のノイズフィルターのお陰か、
中高域のノイズが少ないです。
Dynamic range 48/24
VIA VT1828S 2k-3k 付近が惜しいですね。
THD + Noise 48/24
Sound Blaster X-Fi Titanium HD はどうしたのでしょう?
高域の倍音、歪み、ノイズの特性が悪いです。
その陰にひっそりと VIA VT1828S が大検討です。
Intermodulation distortion 48/24
THD+Noise と同じ傾向です。
Sound Blaster X-Fi Titanium HD は 48kHzが苦手か
私の購入した個体の個体差でしょうか。
つぎに、96kHz/24bit です。
Frequency response 96/24
VIA VT1828S 良いですね。
Noise level 96/24
全測定結果に共通して言えることですが、
Sound Blaster X-Fi Titanium HD 等のサウンドカードを利用するメリットは
全体の低ノイズ化と低域の改善の様に思えます。
Dynamic range 96/24
Sound Blaster X-Fi Titanium HD はアナログ、デジタルともに
クセもなくダイナミックレンジが高いですね。
THD + Noise 96/24
Sound Blaster X-Fi Titanium HD のアナログ接続が良い結果です。
デジタルはこんなものでしょう。
Intermodulation distortion 96/24
60Hzの信号に対し倍音が出てますが VIA VT1828S の特性は良いですね。
つぎに、192kHz/24bit です。 実際は使わない設定かも知れません。
Frequency response 192/24
どれも良いです。判断できません。
Noise level 192/24
どれも際立ったクセは見受けられません。
Dynamic range 192/24
Realtek ALC888、VIA VT1828S に多少の荒れが見られます。
THD + Noise 192/24
これも良い特性ですが、Realtek ALC888が若干惜しいです。
Intermodulation distortion 192/24
Sound Blaster X-Fi Titanium HD は、サンプリング周波数が高くなると
低域で倍音が若干出るようです。
これまでの総括として、各々個別に測定した結果を
同じサンプリング周波数とビットでまとめて比較できる形にしてみました。
総じて言えば、
Realtek ALC888 は全体的に素直な万能選手。
VIA VT1828S は高いサンプリング周波数で使うのが良い。
Sound Blaster X-Fi Titanium HD はさすがに低ノイズで
フラットな特性を持っている。が! 48kHzが弱い。
マザーボードの作りにより、ノイズレベルは大きく異なると思います。
そうなると Realtek ALC888 も今回測定した VIA VT1828S の測定結果に
近い値まで、低ノイズ化とダイナミックレンジの改善があることでしょう。
マザーボードにサウンド機能はあるが、わざわざ別途サウンドカードを
付ける必要はあるか。
今回の測定結果では、低域に対する改善が顕著に見られました。
実際の出音をスピーカから聞いても低域の籠り、濁りはハッキリと
改善されました。
全体的にダイナミックレンジが上がっているので、高域がクリアで
ありますし、中域はスッキリ聞きやすくなり、低域にパンチが出ました。
最後に、測定環境が測定結果にどれほど影響するかを測定しています。
Good:
・測定するPC以外の機器のコンセントを抜く。
・測定するPCの電源コードにフェライトのノイズフィルターを付ける。
・エアコンを点けない。
・室内灯を消灯。
・アナログコードは高グレード品
Bad:
・測定するPC以外の機器も電源を入れる。
・測定するPCの電源コードは通常のまま。
・エアコン稼働、オイルヒーター稼働
・室内灯、廊下電灯、玄関灯を点灯。キッチン換気扇ON
・アナログ接続コードは安物
さて、結果です。
Summary
Frequency response G&B
Noise level G&B
Dynamic range G&B
THD + Noise G&B
Intermodulation distortion G&B
ざっと並べてみましたが、THD + Noise の低域に
若干のノイズ成分が見受けられますが、60Hz以下の低域であり
かつ、顕著なのは40Hz以下なので、気ならないレベルだと思います。
なので、DAWで録音する時も「やせ我慢」することなく、
エアコンを付けて良いと言えるでしょう。
神経質な方でも、ベースを録音する時のみエアコンOFFで良いかと。
ベースの4弦開放であるE音の基音は「41.203Hz」です。
倍音は基音より高い周波数です。
よって、41.203Hzより下の音はカットしても良いとも言えます。
備考:
Realtek ALC888/Windows7.64bit.グラボ無し.MicroATX(GateWay製)
VIA VT1828S/Windows7.32bit.グラボ有り.ATX(ASUS P7P55D)
X-FiTitaniumHD/Windows7.32bit.グラボ有り.ATX(ASUS P7P55D)
毎回書いておりますが、測定結果はあくまで「ものさし」の一部であり、
音の善し悪しを決めるものではありません。
一番のものさしは「自身の耳」であることを踏まえ、何かの参考までに。
かなりの量でしたが、最後まで読んで頂いた方ありがとうございます。