CUBASE8ではVST Bass Amp、Quadrafuzz v2、Multiband Expander、
Multiband Envelope Shaperという新しいVSTエフェクトが追加されました。
このうちMultiband ExpanderとMultiband Envelope Shaperは
CUBASE PRO8にのみ搭載するVSTエフェクトです。
VST Bass AmpはCubase Pro 8-7 VST Bass Ampで書いているので、
今回はマルチバンド エクスパンダーとマルチバンドエンベロープシェーパーについて。
その前にマルチバンドという言葉は解るにせよ、
エクスパンダーとエンベロープシェーパーとはなんぞや。(^^)
スタインバーグのサイトではマルチバンドエクスパンダーの説明に
「トラックのダイナミクスを変更できるマルチバンドエキスパンダー。
4つの周波数帯域を個別に設定して、ダイナミックレンジを拡大したり、
不要なノイズを減らすことができます。」
マルチバンドエンベロープシェーパーの説明では、
「ドラムミックスのサウンドを際立たせたり、
マスタリングや斬新な音加工のために活用できる
マルチバンドエンベロープシェーパー。
入力信号を最大4つの周波数帯域に分割し、
それぞれのアタック特性とリリース特性を自由に変更して、
音のトランジェントを再構成することができます。
レイテンシーフリーのライブモードも搭載しています。」
※太字部分スタインバーグサイトより引用
アタック、リリース、トランジェント・・・。
さてここでおさらいです。(^^)
ADSRという言葉があります。
A=Attack(アタック)
D=Decay(ディケイ)
S=Sustain(サステイン)
R=Release(リリース)
それぞれの頭文字でADSR。
シンセサイザーでもよく出てくる用語ですし、
DTMやギターでもコンプレッサーなどの
ダイナミクス系エフェクトの設定で出てくる用語です。
コンプレッサーについては、コンプレッサー、コンプの仕組み、
COMPの設定 1、COMPの設定 2、Comp/Limit/Maxiで書いています。
Multiband Expander
まずは Multiband Expanderはどんなエフェクターなのか。
コンプレッサーはスレッショルドラインから上を圧縮しますが、
エクスパンダーはコンプレッサーとは逆の動作をします。
エクスパンダーはスレッショルドラインから下を小さくします。
※コンプレッサーの中にはスレッショルドラインから下を持ち上げるもの、
エクスパンダーでもスレッショルドラインから上を大きくするものがあります。
左がMultiband Compressor。右がMultiband Expander。
赤枠の中を見ると2つのエフェクターは
どうやら逆の動作をするらしいと想像することができますね。(^^)
エクスパンダーの効果が判りやすいように、
従来のシングルバンドのExpanderを使っています。
極端に設定していますがスレッショルドを変化させるにつれて、
スレッショルドレベル以下の音が小さくなっています。
これをマルチバンド化したのがMultiband Expanderです。
Multiband Envelope Shaper
次はマルチバンド エンベロープシェーパー。
先に使用したADSRの挿絵とEnvelope Shaperの折れ線で何となく判りますね。(^^;
これも判りやすいようにシングルバンドのEnvelope Shaperを使用しています。
音の順に設定はこんな感じです。
作成に使用したEnvelope Shaperがマルチバンド化されたものが
CUBASE PRO8に搭載されたMultiband Envelope Shaperです。
エンベロープは音量の変化の曲線を意味するので、
それをシェイプするエフェクターがEnvelope Shaper。(^^)
トランジェント
それでは最初に出てきたトランジェントという用語。
これはいったい何を指しているのでしょうか。
元々には一時的とか過渡的という意味がありますが、
エフェクターの用語で出てくるときは
アタックやリリース、サステインの部分を指しています。
なのでスタインバーグのMultiband Envelope Shaper説明にあった、
「それぞれのアタック特性とリリース特性を自由に変更して、
音のトランジェントを再構成することができます。」
先の4枚のEnvelope Shaperのキャプチャ、
まさに音のトランジェントの再構成ですね。(^^)
ペタ~としたトラックにMultiband Expanderを使用して
ダイナミックレンジを広げたり、ノイズを減らしたり。
または他のトラックの為の隙間を作ったり。
Multiband Envelope Shaperは
ドラムトラックに使用したり、アタックが弱い楽器を目立たせたり。
CUBASE PRO8では新しくなったMultiband Compressorに加えて
マルチバンド化されたExpander、Envelope Shaperと
ダイナミクス系がかなり強化されたようです。