(画像は『民放連「ラウドネス関連」のページ』よりパンフレットを引用)
2012年10月1日より新しい方騒音性基準のT-32が導入されます。
ARIB TR-B32「デジタルテレビ番組におけるラウドネス運用規定」が
制定されたのを受けて、日本民間放送連盟が制定した、
NAB技術規準T032「テレビ放送における音声レベル運用規準」の
ことであり、簡略にT-32又はT032と呼ばれているものです。
音で人を惹きつけるには単純に大きな音が有効です。
大きな音がすればその方向を見ますし印象にも残ります。
番組本編からCMに変わると急にステレオ音声で
ボリュームが大きくなったという経験はありませんか?
TVCMでも同様で、如何に他社のCMより
自社のCMを見て、聞いて、覚えて貰うか。
俗に言う「音圧競争」です。
これを受けて、音圧至上主義的な風潮もありました。
DTM関連の雑誌でも音圧を上げる特集の時は店頭から
早く無くなって(売れて)いたような気がします。
以前にも書きましたが音圧を上げるということは
ダイナミックレンジを犠牲にするということです。
コンプレッサーやマキシマイザーを掛け過ぎると
全体の音圧が高くなります。
全体の音圧は上がりますが、同じような曲が並んだ場合、
特に印象に残らないかもしれませんし耳も疲れます。
また、今までは「0VU厳守」でありましたが、
人間の聴覚は周波数によって感度が異なるので、
同じ0VUの曲でも大きく聞こえたり小さく聞こえたのです。
VUメーターは電圧計なので人の聴覚とは異なるのです。
(画像は『民放連「ラウドネス関連」のページ』よりパンフレットを引用)
新しい基準では人の聴覚の感じ方に近いラウドネス値を指標にします。
ラウドネス値の平均が-24LKFSを超えなければ良いのです。
これで聴覚上における音の大小の差は小さくなり、
視聴者に聴き易い放送が実現されるというのです。
平均が-24LKFSを超えなければ良いということは、
一部においてその値を超えていても良いということになります。
これからはダイナミックな音が注目されるのでしょう。
しかしダイナミックレンジが広すぎても聞こえ難いのですが。(^^;
ちなみに、人の耳は2kHz~5kHzの感度が良いので、
この周波数帯の成分をサビで少し増やしてやると
音量が上がったように感じてサビがダイナミックになります。
上の図は等ラウドネス曲線です。
人間の耳が同じ音に聞こえる音圧レベルを表わしています。
例えば、80ホンの場合では3kHzと125Hzを同じ音の大きさに
するためには、125Hzを10dB上げてやる必要があります。
もう一つ。
極端ですが、40ホンの場合では30dBの差が必要です。
ステレオのボリュームを下げると低音が寂しくなる理由です。
音楽の再生機器等に付いているラウドネス機能は
小さい音量で低音と高音を持ちあげているのです。
すると、大きな音量で聴いたのと同じ周波数バランスで聞こえます。
また電圧計(VU)だけでミックスしていると
フェーダーのレベルは良いのに耳が痛いミックスになる場合があります。
これは人の耳は2kHz~5kHzの感度が良いので、
フェーダーの目盛以上に耳に堪えているのです。
とするとです。
ミックスする時の適正音量について疑問が残ります。
ミックス作業の音量が大きいと、他の人が聴いたら低音不足。
ミックス作業の音量が小さいと、他の人が聴いたら低音過多。
こんなことも起こるのでしょう。
ミックス時ではバランス良く仕上げたつもりでも、
他の人がそれより大きな、又は小さな音量で聴けば
高音と低音の聞こえ方が変わってくるのでしょう。
やはりラウドネスメーターで確認しながらの作業は必要ですね。(^^)
CUBASEシリーズには標準でラウドネスメーターは搭載されていません。
別途フリーVSTやスタインバーグが無償で提供しているラウドネスメーター
プラグインを用意する必要があります。
次期バージョンアップではミキサーのフェーダー表示が
切り替えれるようになっていればありがたいです。(^^)
私は素人なので詳しくは判りませんが、
10月以降はテレビの音量差が少なくなって
視聴し易くなるのだけは判りました。
何かの参考までに。