アナログ音をデジタルで録音する際には、
アナログ音を標本化と量子化でデジタル化します。
俗に言う 44.1kHz/16bit 等です。
44.1kHzのサンプリングレートできる高域の上限は 22.05kHz。
16bitでのダイナミックレンジは 96dB。
ここまではおさらいです。
DAWで録音を行う際にどの組み合わせが良いか。
もちろん、所有機器の得意とする組み合わせも一考です。
今回は、「何kHzの音までを記録したいか。」を基にしてみます。
人間の聴覚は20kHz付近ですが、これ以上の高周波も感知出来ています。
「超音波で頭痛がする。」「高サンプリングの方が音が良く聞こえる。」
では、30kHzの周波数まで記録するとします。
30kHz×2=60kHz以上のサンプリング周波数で可能となります。
この「×2」ですが、標本化の定理に関係してきます。
標本化の定理を用いると、
最大周波数成分の×2よりも高い周波数でサンプリングすれば
原信号を完全に復元できるというものです。
原信号の最大周波数を f=22.05kHz とした場合、
fs=44.1kHz以上でサンプリングすれば原信号を完全に復元できます。
※あくまで理論上のお話です。
また、原信号を完全に復元できる最大周波数は「fs/2」と表すことができ、
これをナイキスト周波数と言います。
サンプリング周波数が 44.1kHzであった場合、
ナイキスト周波数は22.05kHzですが、CD-DAの規格上の上限は20kHzです。
これは事前にローパスフィルタで処理をしていますが、
ローパスフィルタの性能分のゆとりを持たせているらしいです。<不勉強 (^^;
では、なぜローパスフィルターを使うのか。
これは、エイリアシングを防ぐためです。
アンチエイリアシングという言葉も映像、音楽では良く耳にしますね。
高周波成分を低すぎるサンプリング周波数で標本化すると、
再生した際に歪(ノイズ)として出てしまいます。
例えば、録音する音の高周波成分が
30kHzであった場合で、標本化を44.1kHzで行なった場合、
ナイキスト周波数は22.05kHzです。
30kHz-22.05kHz=7.95kHz
22.05kHz-7.95kHz=14.1kHz
14.1kHzにエイリアシング(歪、ノイズ)が出現することになります。
これを折り返しノイズと言います。
ナイキスト周波数を超えた高周波成分は
ナイキスト周波数で折り返してしまいます。
機器では、この成分は本来の成分なのか、折り返しの成分なのか
判断できません。よって、14.1kHzには、本来の成分とノイズ成分が
混在してしまします。
これを防ぐために、ナイキスト周波数以上の高周波成分を
あらかじめカットする必要があるのです。
ノイズ成分が混在した音にらならい為ように、
楽器を弾いている傍ら、オーディオインターフェイス等は
せっせと働いている訳です。
このA/Dコンバータの方式もいくつかありますが、
音楽分野でよく使われているのは、ΔΣ(デルタシグマ)変調です。
エフェクターやオーディオインターフェイスのカタログで
見たことありますよね。
A/Dコンバータは、アナログ信号を目的とするサンプリング周波数より
高いサンプリング周波数でオーバーサンプリングします。
よく64倍とか128倍とかの記載を見かけますが、これはCDを基準とした
サンプリングスピードの表記です。
なぜ、オーバーサンプリングするのか。
サンプリング周波数を倍にすると、量子化ノイズのパワーは
同じでも、量子化ノイズは倍の周波数帯域になります。
人間の耳に聞こえない遥か彼方の高周波数帯に量子化ノイズを
追いやった後に、ローパスフィルターで切り捨てます。
そして標本化した周波数を間引いて、目的とする44.1kHz.16bitなどを
作っています。
エフェクターやオーディオインターフェイス、AV機器にでてくる
ΔΣ変調やオーバーサンプリングについて親しみやすくなったでしょうか。
専門家でないので、これ以上の詳しい事は解りませんが、
ふと、オーディオインターフェイスを見ていたら
サンプリング周波数のことを思い出したので書いてみました。
興味を持った方は、グーグルやウィキで調べてください。(^^;
DAWへのアプローチに変化があるかもしれません。