2012-08

Requiem~a novelette~

第8話 エノーラ

眠れない夜が明けた。 俺たちの隊はまた東に向けて歩き始めた。 今日はみな無言のままだ。 無言の行進が暫く続いていた時だった。 「おい、腹が減らねえか。」 誰かが口を開いた。 そういえば朝から歩き続けて気がつけば太陽は真上にきている。 「もう...
Requiem~a novelette~

第7話 廃墟の町

ヒドラが占領するニクスの東の街へはまだ遠いはずだが、 目の前に小さな集落が見えてきた。 俺たちはそこで休憩をすることにした。 それでもまだ1時間は歩かないとたどり着けないだろう。 しばらくするとその集落がよく見える丘に到着した。 男たちは絶...
Requiem~a novelette~

第6話 俺の知らない俺

俺たちは東に向かっている。 ヒドラの軍が占領したニクスの街を解放する為だ。 偵察兵の報告によるとヒドラの兵の数は2000人。 我々の部隊はどう多く数えても200人程度の小さな部隊だ。 途中でいくつかの別の部隊と合流して東の占領区を目指すらし...
Requiem~a novelette~

第5話 小さな国葬

いつの間にか深い眠りについていたようだ。 闇は既に明けいつもの朝日が昇っている。 何日目だ・・・、今の俺になって。 そんな事を思っていると傷ついた兵士が帰還してきた。 「大佐! 大佐!」 彼は酷く傷つき、そして叫んでいる。 その緊迫感に満ち...
Requiem~a novelette~

第4話 霧に包まれて

俺は大佐に騒動の説明を求められていた。 ダンの話が頭を過る。 「トライオード、何があったんだ。」 「またあいつか。アベルが騒動を起こしたのか。」 ドアが開き俺を呼びに来た彼女が入ってきた。 「エノーラか。入れ。」 私を呼びに来た彼女はエノー...
Requiem~a novelette~

第3話 ドクターと呼ばれる男

ベースキャンプに帰った頃にはすっかり陽も暮れていた。 ジョンはどこか誇らしげだ。 穴の空いたバケツは川魚で一杯だ。 さっそくキャンプでは薄明かりの中酒盛りが始まる。 戦場というものは緊張感で溢れていると思ったが、 キャンプの中の空気はそうで...