2012-08

Requiem~a novelette~

第38話 永遠の詩

「シッ!誰かが近づいてきている。」 俺達は息を潜めた。 ヒドラの追ってのようだ。 幸い犬を連れていない。 犬がいれば足跡は雨で消せても この血の匂いで居場所がわかってしまう。 足音からして一人のようだ。 じっと息を潜めた。 ロゼッタは壊れか...
Requiem~a novelette~

第37話 銃声と雷鳴の中で

ロゼッタと俺は捕虜の群衆に紛れて町の出口を目指していた。 群衆の中での生存率は高い。 何とかこのまま出口まで辿りつかなくては。 その時だった。 町を囲む壁が外側に大きく崩れるように倒れた。 アレクシス達だ。 アレクシス隊が壁を倒したのだ。 ...
Requiem~a novelette~

第36話 アベルとの別れ

町の裏手近くでは捕虜達の集団が出来ている。 クレイグ隊が破壊した壁の穴では一度に多くの捕虜は通れない。 3人同時が精々だ。 しかし未だに壁を壊す音が聞こえてくる。 俺達が突入した後はアレクシスの隊が 続けて壁穴を大きくしているのだろう。 レ...
Requiem~a novelette~

第35話 小さな希望

町の中は思ったより広かった。 幾百・・・いや幾千ものテントが張られていた。 「この中から探すのか・・・。」 俺は軽い絶望すら感じた。 テントの中はパニックになっていた。 それはそうだろう。 カロンの軍でも、ヒドラの軍でも、 もちろん軍を持た...
Requiem~a novelette~

第34話 突入の刻

レイモンド隊の動きが止まった。 捕虜の町は直ぐ前だ。 レイモンドがサインを出す。 アレクシスとクレイグの隊の方向に手が動いた。 『行け』 心の中にレイモンドの声が聞こえた。 そして3つの隊はV字型となって、ゆっくりと、そして静かに、 捕虜の...
Requiem~a novelette~

第33話 漆黒の行進

遠くで刻を告げる教会の鐘が鳴った。 いよいよ出発の時がきた。 捕虜の町に向けて俺達は足を進めた。 その頃、大きな満月は雲に隠れた。 「まるで俺達の味方をしてくれているようだ。」 「時代が俺達の様子を伺っている様だな。」 「このまま味方であっ...