Dither(ディザー)は量子化ノイズの軽減するために
意図的に付加されたノイズです。
このノイズを意図的に加える作業を「Dithering(ディザリング)」といいます。
最近のCubaseシリーズでは、UV22HRというディザリングの為の
VSTプラグインが用意されています。
では、まず最初に量子化ノイズについて。
DAWで録音する時のbit(量子化)はどうようになっていますか?
Cubaseのパッケージ版での標準設定は24bitです。(内部処理は32bit/float)
インターフェイスからの信号が16bitであった場合、DAWでは24bit、
書き出す時に16bitであれば、その都度変換が行なわれています。
異なるbitに変換する度に量子化ノイズが発生するので、
DAWでの設定を24bitとした場合は、インターフェイスも24bit出力が
可能なものが変換回数が減るので良いです。
この変換の際に発生する量子化ノイズ。
量子化ノイズを簡単にいえば、24bitでの値を10として、
16bitに変換して8.5とします。
※8.5は説明用に適当に用いた値で85%に相当するという意味ではありません。
この8.5を整数にする為に、0.5を加算か減算します。
加算すれば9、減算すれば8です。どちらも8.5ではなく誤差があります。
変換後の信号(8.5)から整数にする為に加えた値はノイズとなる。
誤解を恐れず乱暴に言えば、この誤差が量子化ノイズです。
なので、量子化の変換を行う度に、この誤差が含まれてくるのです。
再標本化、再量子化による誤差は周期的なものとなり、
人の耳に感知されやすい音(ノイズ)になります。
基の信号を関連性のない(非周期的)にすることにより、
人の耳に感知され難くするのが「ディザリング」です。
そのためのVSTプラグインがCubaseシリーズでいえば UV22HR なのです。
UV22HRを最終の最終で掛ける。
すなわちステレオアウトトラックのインサーションエフェクトの最後に
使用することで、出力される音はディザリングされた音になる訳です。
UV22HRが何をしているかというと、
周期的な量子化ノイズに不規則なノイズを加えています。
これで人の耳を騙している訳です。
人の耳は規則的なノイズには敏感で不規則なノイズには鈍感らしいのです。
正直、私はノイズを加えてノイズを抑えるということは
頭では解っていても、なんとなくしっくり理解できない昔人間です。
ここまで書いてやっと UV22HR の使い方です。
24、20、16、8のボタンは、最終的に書きだすデータのbitを指定します。
44.1kHz/16bitのデータとして書きだすなら「16」にします。
hi、loのボタンは加えるノイズの量を設定します。
デフォルトのままで良いと思います。
Autoblack は、無音状態の時にノイズを[加える]・[加えない]の設定です。
私にはさっぱり違いが聞き取れません。
ご近所迷惑になるまで音量を上げれば
私にでも判るようになるのでしょうか。(^^;
何かの参考までに。