シンセやドラムの打ち込み(MIDI入力)を行なう上での雑学について。
打ち込みをMIDIキーボードで行なう場合、MIDIキーボードは
MIDIインターフェイス経由かUSBでPCと接続しています。
1ポートで16ch扱えることがMIDI規格としてあるので、
この接続方法では最低でも16ch分のMIDI信号の
やりとりが行なえます。
1ch1音色(楽器)として16音色(楽器)分のデータを
やりとりできると言い換える事もできます。
そして、MIDIの信号は7bitで扱われています。
0~127(128段階)と言い変えれます。
MIDIコントロールチェンジや音色バンク等が0~127の範囲で
定められているのもこのためです。
1byte目:チャンネル情報
2byte目:ノート番号情報
3byte目:ベロシティ情報
このように、3バイト構成となっています。
1chの音色のどこの鍵盤をどの位の速さで弾いたか(離したか)
言葉で書くとこんな感じです。
0~127と書きましたが、これは多いのでしょうか。少ないのでしょうか。
ピアノは88鍵盤であれば、88<128なのでOKです。
ギターは6弦24フレットで49音階なので、
49 どこの鍵盤を弾いたかについては、0~127で十分ですね。
鍵盤を弾く又は離すスピードを128段階で表わしているのが、
ベロシティーです。直訳すれは「速さ」ですね。
MIDIを利用した打ち込みについて、ここから本題です。
音に表情を付けるには、
ベロシティー、ボリューム、エクスプレッションの3つの要素を使います。
ベロシティーについては、先の説明のとおり鍵盤を弾く速さです。
そして、ハードウェア・ソフトウェア音源の仕様に
ベロシティーレイヤーというものがあります。
このベロシティーレイヤーとは、
ベロシティーの段階ごとにサンプリングすることです。
例えば、ベロシティーレイヤー数が32なら、
0~127を32分割したベロシティーごとにサンプリングしているのです。
ドラムなら弱く叩いた時と、強く叩いた時に出力される音は
別のサンプリングを鳴らしているということです。
では、ベロシティーレイヤー数が1ではどうでしょう。
弱く弾いても、強く弾いても、同じサンプリングの音が鳴るだけです。
あまりにも機械的な音となるでしょう。
ドラムのVSTiとして有名なFXpansion BFD2 では、
標準で96段階以上。拡張音色で127~256段階になります。
入門用のEZ Drummerでは確か32段階だったと記憶しています。
これはベロシティーに応じて機械やソフトが勝手にサンプリングを
使い分けてくれるので、ここは意識しなくても良いですが、
こだわる場合は、ベロシティーレイヤー数の多いVSTiを選ぶと良いでしょう。
次にボリュームですが、MIDIコントロールナンバーでいえば「7番」です。
これは音量の調整するためのもので、トラックに対して指定することが多いです。
ミキサーのフェーダーですね。
次にエクスプレッションです。
これは機器やVSTiによって対応していないものがあります。
具体的に言えば、CUBASE AI5までに付属していた HALionONE は
エクスプレッションに対応していません。
ベロシティーが1音毎の発音時の音量をコントロールし、
エクスプレッションは発音後の音量をコントロールします。
ギターを打ち込みで再現する場合のバイオリン奏法(ボリューム奏法)では、
発音時の音量はベロシティで大きくしておきますが、エクスプレッションで
アタック後に音量を上げて行くと、それらしく聞こえます。
ストリングスなどの弦楽器にも有効ですが、
管楽器の表情付けにも便利なエクスプレッションです。
後はトラック間のボリュームを整える為に(トラック)ボリュームを使用します。
最近のDAWは、難しい事は抜きにしてマウスだけでも打ち込めるよう、
入力画面が相当練り込まれています。
キーエディタで鳴らしたい音をマウスでポチッ。
これが2byte目の信号の変わりです。
画面下の棒グラフで音の大きさを修正します。
これが3byte目の信号の変わりです。
1byte目はトラックと作った時点で終了していますね。
最後は曲全体を聞きながらミキサー画面で、トラック間の音量調整です。
これがMIDIccNo.7の信号の変わりです。
今のDAWしか知らない方は、
レコンポーザーというシーケンサーの画面をみると
英数字しかないので、どうやって打ち込むのだろうと
ビックリされるかも知れませんね。
ちなみに私のWin7/64bitではレコンポーザーは元気に動いています。(^^;
ぐだぐだと長く書きましたが、曲は1音1音の集まりです。
1音1音に気を使いましょう。
1音1音に表情を付けるには、ベロシティー、エクスプレッションがある。
楽器毎の音量はボリュームだ。
という訳です。
アーティキュレーションというものがありますが、
これは各ソフトによって処理の方法が異なりますが、
ベロシティー、ベロシティーレイヤー、エクスプレッション等を
組み合わせた自動処理のようなものです。
例えば、「<」(クレッシェンド :徐々に強く)と指定すれば、
ベロシティー、エクスプレッションとアタックやリリースタイムなどの
MIDICC(ミディコントロールチェンジ)を自動で組み合わせてくれて、
簡単にそれらしく聞こえるというものです。(VSTiにより内容は異なります)
また、ヒューマナイザーなどと呼ばれる「人間らしい奏法」を可能にする機能も、
機械的な音にならないよう、VSTi側で勝手に、レイヤーやベロシティーに
変化を付けてくれる機能です。
何かの参考までに。