その時々の覚え書きとしてcompressorについて書いているのですが、
今日はそのまとめとして。
コンプレッサーはその名のとおり圧縮するエフェクターで、
単体の楽器でもトラックダウンでも重要な処理のうちの一つです。
音に存在感が出る、聞き取りやすくなる、音圧が上がるなどの効果が得られますが、
逆に、平坦な音になる、ダイナミクスが失われるなどのデメリットもあります。
まずはADSR
これはADSRのイメージ図です。
最大音量 = アタック
その後一定の音量まで減衰 = ディケイ
減衰した音量を保つ時間 = サステイン
その後ゆるやかに減衰 = リリース
ちなみにシンセサイザーの音作りでは
鍵盤を押してから最大音量までの時間をアタックタイム、
サステインレベルになるまでの時間をディケイタイム、
一定の音量で持続するレベルをサステインレベル、
鍵盤を離した後に音が消えていくまでをリリースタイム。
それぞれのパラメーターで設定して音を作っていきます。
ギターでサステインが良いギターとは挿絵でいうサステイン部分が長いギター。
ノイズゲートというエフェクターはサステインレベル以下で設定された
スレッショルド値を音量が下回るとゲートを閉じてノイズを目立たなくさせます。
また、急に閉じると不自然なのでリリースタイムを調整して自然な減衰にします。
スレッショルドとレシオの関係
コンプレッサーの動作設定でthresholdとratioというものがあります。
設定したスレッショルドを超えるとコンプレッサーが動作します。
最初にコンプは圧縮するエフェクターと書きましたが、
どれくらい圧縮するかを決めるのがレシオです。
レシオはアタックの音量とスレッショルドで設定した音量の差。
レシオ2:1ならアタックの音量はスレッショルドで設定した音量の
1/2(50%)地点まで圧縮されます。
レシオが∞:1でリミッターというエフェクトに近い動作になります。
圧縮されたので最大dBは動作前より低くなっています。
そこでゲインを上げて調整します。
これらにより、アタックとサステインレベルでの音量差が小さくなり、
音に存在感が出る、聞き取りやすくなる、音圧が上がるなどの効果を得ます。
簡単に書くと、
どの音量以上でコンプレッサーを動作させるかはスレッショルドで設定、
どのくらい圧縮させるかはレシオで設定です。
アタックタイムとリリースタイム
アタックタイムとは、スレッショルドを超えた音を
どのくらいの速さでレシオ値まで圧縮するかです。
ゆっくりした方が良い?はやくした方が良い?
コンプが悩んでいるので指定してやりましょう。(^^)
アタックは楽器の印象を決めるうえでかなり重要な要素となります。
このトラックは脳が聴くという記事で使用したトラックで、
CUBASE7に付属するHALionSonicSEに含まれている
7種類の楽器のサステイン部分の音です。
言い換えればアタックを無くした音。
チェロ、アルトサックス、ベース、オルガン、ピアノ、
アコースティックギター、ガットギターの順番なのですが、
アタックがないと何の楽器か判らないです。
極端な例を用いましたが、アタック(タイム)は
それだけ楽器の印象に大きく関与しているのです。
レシオで潰し過ぎてアタックタイムも遅くしすぎたら、
その楽器の良いとこまで「圧縮」しているようなもの。
しかしその反面、印象を変えることができるので便利でもあります。
リリースタイムはスレッショルドラインを下回った際、
どのくらいの時間でコンプレッサーの動作をオフにするかです。
このリリースタイムは他の設定との兼ね合いなのですが・・・・。
スレッショルドラインを超えたぞ~!
皆の者!急いで圧縮だ~!
なんてことがエフェクターの中で起こっているのか否かは知りませんが、
音圧を上げることが目的で高圧縮すぎるとどうなるか。
スレッショルドラインを下回ったらコンプの動作がオフ、
スレッショルドラインを超えたらコンプの動作がオン。
スレッショルドライン付近で音がうねるというか・・・
ウァンウァンと形容したら良いのか・・・・。
いかにも不自然にコンプがオンオフしているのがわかります。
不自然に聞こえる場合はリリースタイムを遅くして、
スレッショルドを下回ったら緩やかに開放してもらいましょう。
リリースタイムを遅くしすぎると・・・・。
次の音が入ってくるので潰れまくり!?
リリースタイムを調整してもコンプの動作が不自然なようなら
スレッショルドラインやレシオ(圧縮比)を見直しましょう。
レシオが高いと音が歪んで聞こえることもありますし。
このトラックはコンプレッサーという記事で使用したトラックで、
同じフレースをダイナミクス系エフェクターの設定違いで再生したものです。
後半はリミッター、マキシマイザーも使用していますが、
コンプレッサーを含むダイナミクス系エフェクターで
ドラムトラックだけでも大きく印象が異なりますね。(^^)
シングルバンドとマルチバンドコンプレッサー
コンプレッサーにも様々な種類があります。
アナログ、デジタル、真空管、オプティカルなど、
そのモデルの特徴を示すモデルとなった方式の他に
マルチバンドという分類もあります。
マルチバンドとは幾つかの帯域ごとに
異なった設定を行うことができるコンプレッサーで、
トラックダウンの最終トラックで使用されることが多いです。
これはシングルバンドコンプレッサー。
これはマルチバンドコンプレッサー。
6弦24フレット、レギュラーチューニングのギターなら、
82.407Hz(E2)~1,318.510Hz(E6)までの4オクターブ。
これに倍音が加わります。
ギターとベースの音階と周波数については音程と周波数 1、
倍音については音程と周波数 2で少しだけ書いています。
88鍵のピアノの最低音は A0=27.5Hzです。
最高音は C8=4186.01Hz(4.1kHz)です。
ギターは4オクターブ。
ピアノは7オクターブと4半音。
コンプレッサーは掛かりの好みで選択すれば良いと思いますが、
音域の広い楽器にはマルチバンドの方が細かな動作設定ができます。
人の可聴域は20Hz~20kHz。
CDのフォーマットも同じです。
周波数は倍になると1オクターブ上がります。
20Hzの10倍で20kHz=10オクターブ
最終トラックにマルチバンドタイプのコンプレッサーが好まれるのも
周波数ごとに異なった設定が可能であることがあげられます。
一番身近で一番厄介
音に存在感が出る、聞き取りやすくなる、音圧が上がる等の効果が得られる。
逆に平坦な音になる、ダイナミクスが失われる、歪みやノイズが発生する等。
用途によってはデメリットを逆手にとって音作りする場合も。
私はこのコンプレッサーというエフェクター。
イコライザーと並んで一番身近で一番厄介なエフェクトだと思っています。(^^;
コメント
こんにちは(^^)
コンプ、、、本当に、一番やっかいで悩むエフェクトです(^^;
ドラムソロに、色んなタイプのコンプをかけた音源、、、
面白いですね(^^)
スネアの抜け、、バスドラの存在感、、、
上手く使えば抜けの良い切れのある音に、、
悪く使えば埋もれて輪郭のぼやけた音に、、、
ドラムに限らず、
マスタリングの時も、ですが、
いつも悩ましいです(^^;
HA-ROOKIE さん、こんばんは。
VSTエフェクトより設定項目が少ないと言えど、
ギターでも悩みますよね。
掛けすぎるとノイジーになりますし。
ちなみにギターではBOØWYさんの
「BAD FEELING」のリフを弾いて気持ち良いあたりが
私のツボです。(^^)