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日常の独り言

Requiem~a novelette~

第35話 小さな希望

町の中は思ったより広かった。幾百・・・いや幾千ものテントが張られていた。「この中から探すのか・・・。」俺は軽い絶望すら感じた。テントの中はパニックになっていた。それはそうだろう。カロンの軍でも、ヒドラの軍でも、もちろん軍を持たないニクスでも...
Requiem~a novelette~

第34話 突入の刻

レイモンド隊の動きが止まった。捕虜の町は直ぐ前だ。レイモンドがサインを出す。アレクシスとクレイグの隊の方向に手が動いた。『行け』心の中にレイモンドの声が聞こえた。そして3つの隊はV字型となって、ゆっくりと、そして静かに、捕虜の町に向けて再び...
Requiem~a novelette~

第33話 漆黒の行進

遠くで刻を告げる教会の鐘が鳴った。いよいよ出発の時がきた。捕虜の町に向けて俺達は足を進めた。その頃、大きな満月は雲に隠れた。「まるで俺達の味方をしてくれているようだ。」「時代が俺達の様子を伺っている様だな。」「このまま味方であってくれると良...
Requiem~a novelette~

第32話 迷い

いよいよ決戦の夜だ。解放軍は準備に忙しい。俺達はこれからニクスの山岳地帯にあるヒドラ軍の捕虜の町に向かう。解放軍の数からいって勝ち目はまずない。それでも俺達は作戦を決行する。みんな死ぬ覚悟は出来ている。ここを去る兵もいなかった。俺達のこの行...
Requiem~a novelette~

第31話 カロンの悲劇

俺達は解放軍の本拠地、洞穴の奥にいる。そこにはレイモンド、アレクシス、クレイグ。そしてマドックとマットもいた。外では解放軍の最後の宴が始まっていた。「いいか、よく聞いてくれ。」レイモンドが話し始めた。「どうやら俺達は大きな勘違いをしていたよ...
Requiem~a novelette~

第30話 独眼の大将

起き上がってきたのはクレイグ大佐だった。「上出来だ、トライオード。」「どうやらお前には別の才能もあるようだな。」「人を殺す才能はいらない。」俺は昔の口調に戻っていた。目の前にいるのは俺の知っている大佐だとようやく判ったからだ。「もし俺の弾が...