2012-08

Requiem~a novelette~

第20話 それぞれの道

俺はロゼッタと彼女の家にいる。 テーブルには温かいたんぽぽのコーヒーが入れてある。 「先生・・・。」 「もう何も君は考えるな。」 「これは俺の問題だ。」 「先生だけの問題じゃないわ!」 「この村に医者は必要なの!」 「それに・・・。」 そう...
Requiem~a novelette~

第19話 決意

次の朝、俺は村に立てられた札を見つめている。 『ニクスの村の民に告ぐ。 明後日までに隣村の市場まで トライオード医師を投降させること。 明後日以降、彼をかくまった者は銃殺とする。 また村が関与している場合はこの村を焼き払う。 なお、彼が逃亡...
Requiem~a novelette~

第18話 三文芝居

「先生!あいつらだ!」 ドアに向かう俺をロゼッタが行く手を阻んで制止した。 彼女の表情はいつになく厳しい。 ロゼッタは先客の男に目で合図を送った。 それを見た男は俺の所にやってきて、 俺の手を掴むと手の平をゆっくりと上下した。 どうやら俺に...
Requiem~a novelette~

第17話 終りを告げる鐘

あれから1週間が過ぎた。 俺達はどこかぎこちない。 それはそうだろう。 あんなことがあったんだ。 昨日と変わらない毎日が始まった。 それでも人はこんな生活を幸せと呼ぶのだろう。 でも何かが足りない。 心の中にポッカリと穴が空いているようだ。...
Requiem~a novelette~

第16話 天使の涙

穏かな日だ。 いつもの毎日が始まる。 ロゼッタは診察の後片付けをしている。 夜間の急患で忙しかったが、充実した毎日を俺は送っている。 今日は休診日だ。 ロゼッタの家は村から少し外れた所にある。 家の横には小川がせせらいでいる。 眼を凝らして...
Requiem~a novelette~

第15話 純白の白衣

「・・・セイ。」 「・・ンセイ。」 「先生!トライオード先生!」 「ロゼッタ?」 ロゼッタが俺を激しく揺さぶっている。 「ここは・・・どこだ?」 「大丈夫・・・ですか?」 俺の真似をしているようだ。 「ここはニクスの村。そしてここはロゼッタ...