Requiem~a novelette~

第8話 エノーラ

眠れない夜が明けた。俺たちの隊はまた東に向けて歩き始めた。今日はみな無言のままだ。無言の行進が暫く続いていた時だった。「おい、腹が減らねえか。」誰かが口を開いた。そういえば朝から歩き続けて気がつけば太陽は真上にきている。「もう半日も歩いてい...
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第7話 廃墟の町

ヒドラが占領するニクスの東の街へはまだ遠いはずだが、目の前に小さな集落が見えてきた。俺たちはそこで休憩をすることにした。それでもまだ1時間は歩かないとたどり着けないだろう。しばらくするとその集落がよく見える丘に到着した。男たちは絶句した。集...
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第6話 俺の知らない俺

俺たちは東に向かっている。ヒドラの軍が占領したニクスの街を解放する為だ。偵察兵の報告によるとヒドラの兵の数は2000人。我々の部隊はどう多く数えても200人程度の小さな部隊だ。途中でいくつかの別の部隊と合流して東の占領区を目指すらしい。ニク...
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第5話 小さな国葬

いつの間にか深い眠りについていたようだ。闇は既に明けいつもの朝日が昇っている。何日目だ・・・、今の俺になって。そんな事を思っていると傷ついた兵士が帰還してきた。「大佐! 大佐!」彼は酷く傷つき、そして叫んでいる。その緊迫感に満ちた声を聞いて...
Requiem~a novelette~

第4話 霧に包まれて

俺は大佐に騒動の説明を求められていた。ダンの話が頭を過る。「トライオード、何があったんだ。」「またあいつか。アベルが騒動を起こしたのか。」ドアが開き俺を呼びに来た彼女が入ってきた。「エノーラか。入れ。」私を呼びに来た彼女はエノーラと呼ばれて...
Requiem~a novelette~

第3話 ドクターと呼ばれる男

ベースキャンプに帰った頃にはすっかり陽も暮れていた。ジョンはどこか誇らしげだ。穴の空いたバケツは川魚で一杯だ。さっそくキャンプでは薄明かりの中酒盛りが始まる。戦場というものは緊張感で溢れていると思ったが、キャンプの中の空気はそうでもない。気...