Requiem~a novelette~

第15話 純白の白衣

「・・・セイ。」「・・ンセイ。」「先生!トライオード先生!」「ロゼッタ?」ロゼッタが俺を激しく揺さぶっている。「ここは・・・どこだ?」「大丈夫・・・ですか?」俺の真似をしているようだ。「ここはニクスの村。そしてここはロゼッタのお家。」「あな...
Requiem~a novelette~

第14話 閃光の中で

俺はアベルのいるテントを離れてエノーラのもとに急いだ。やけにテントが静かだ。嫌な予感を感じてテントに飛び込んだ。その光景に俺は言葉を失い、膝を落とし、地面の土を強く握りしめた。「エノーラ・・・。」彼女は床に倒れていた。彼女の手には銃が握られ...
Requiem~a novelette~

第13話 悪夢

ここはどこだ?とても暗い。ドドド、ドドドドドドド。銃声だ。あちこちで銃声が鳴り響いているのが聞こえる。俺はテントの中で兵の治療を行なっている。いや、治療と呼ぶには程遠い。ただの手当を俺は必死でやっている。沢山の血で染まった真っ赤な白衣を着て...
Requiem~a novelette~

第12話 真夜中の客

ドン、ドン。ドン、ドン、ドン。「先生!先生!開けて下さい!トライオード先生!」ドン、ドン。ドン、ドン、ドン。激しく扉を叩く音で無理やり起こされた。「今何時だ?」「誰だこんな真夜中に。」眠い目をこすりながら音のする方に足を進める。「先生!トラ...
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第11話 勝者と敗者

あれからどれくらいの刻が過ぎたのだろうか。ヒドラの偵察隊キャンプのアタックからだ。俺の名はトライオード。カロン国の雇われ軍医だ。カロン、ニクス、ヒドラの争いは今も続いている。ヒドラの若き指導者は力を付けた。ニクスの1/3を占領区域としている...
Requiem~a novelette~

第10話 最後の晩餐

陽だまりの中に俺はいる。目の前には川が流れている。山から流れ来るその水はとても澄んでいる。反射する日差しが水面に様々な模様を与えている。時折、魚が跳ねている。せせらぎの音が心地よい。直ぐ近くのキャンプでは兵士たちの談笑が続いている。ここが戦...