Requiem~a novelette~

第14話 閃光の中で

俺はアベルのいるテントを離れてエノーラのもとに急いだ。やけにテントが静かだ。嫌な予感を感じてテントに飛び込んだ。その光景に俺は言葉を失い、膝を落とし、地面の土を強く握りしめた。「エノーラ・・・。」彼女は床に倒れていた。彼女の手には銃が握られ...
Requiem~a novelette~

第13話 悪夢

ここはどこだ?とても暗い。ドドド、ドドドドドドド。銃声だ。あちこちで銃声が鳴り響いているのが聞こえる。俺はテントの中で兵の治療を行なっている。いや、治療と呼ぶには程遠い。ただの手当を俺は必死でやっている。沢山の血で染まった真っ赤な白衣を着て...
Requiem~a novelette~

第12話 真夜中の客

ドン、ドン。ドン、ドン、ドン。「先生!先生!開けて下さい!トライオード先生!」ドン、ドン。ドン、ドン、ドン。激しく扉を叩く音で無理やり起こされた。「今何時だ?」「誰だこんな真夜中に。」眠い目をこすりながら音のする方に足を進める。「先生!トラ...
Requiem~a novelette~

第11話 勝者と敗者

あれからどれくらいの刻が過ぎたのだろうか。ヒドラの偵察隊キャンプのアタックからだ。俺の名はトライオード。カロン国の雇われ軍医だ。カロン、ニクス、ヒドラの争いは今も続いている。ヒドラの若き指導者は力を付けた。ニクスの1/3を占領区域としている...
Requiem~a novelette~

第10話 最後の晩餐

陽だまりの中に俺はいる。目の前には川が流れている。山から流れ来るその水はとても澄んでいる。反射する日差しが水面に様々な模様を与えている。時折、魚が跳ねている。せせらぎの音が心地よい。直ぐ近くのキャンプでは兵士たちの談笑が続いている。ここが戦...
Requiem~a novelette~

第9話 沈黙の革命

俺たちカロンの兵はヒドラが占領するニクスの東の街へ向かって行進を続けている。俺たちは夕暮れを待たずに野営ポイントに到着した。予定より早い到着に兵の表情も幾分か明るい。昨夜の件で亡霊の行進の様な隊の進行は、昼食の休憩からは覇気を取り戻していた...