ケーブルの長さと音2

過日、ケーブルの長さと音という記事を書きました。
今回はその続きです。

先日よりギターケーブル(シールド)を作成しました。
何故わざわざ、短いものを作ったのか。

答えの半分はケーブルの長さと音の記事にあるように、
ノイズの混入と信号の損失を防ぐことが目的でしたが、
それとは、別の理由があります。

真空管アンプはその構造からローパス(ハイカット)フィルターと
似た働きを示し、それがアンプのキャラクターとなっています。

CR回路、アンプ、ロー(ハイ)カット などで検索すれば様々なサイトで
その原理と計算式を知ることができます。

しかし、真空管アンプやトランジスタアンプを自作してギターに
使うことは通常行ないませんし、せっかく買ったアンプにメスを
入れることも普通は行ないません。

所有している楽器や機器の能力を
最大限引き出してやることが精一杯。

今回はそんなお話です。

アンプに使用される真空管 12AX7を例にすると、入力容量は約100pFです。
さらにミラー効果といって、増幅率が大きいほどこの数値も上がります。
ミラー効果も含めて計算し易いように平均的な値として200pFを使用します。
この値を変えようとするとアンプの改造になるのでここは固定です。

ここからケーブル(シールド)のお話です。

ベルデン8412の静電容量は、108.273pF/m。
では、この静電容量にケーブルの長さを乗じてみましょう。

私の作った1.5mでは、162.410pF、3mでは324.819pF、
10mでは1,082.73pFということになります。

アンプの容量(200pF)とケーブル容量を足すとそれぞれ、
1.5m=362.41pF
3.0m=524.819pF
10m=1,282.73pF

私の利用しているギター(ハムバッキング)はパッシブ回路なので、
500kΩの出力抵抗は、500kΩ=Ra+Rb=Ra(250kΩ)、Rb(250kΩ)。
Ra//Rb=Ra//Rb=1/(1/Ra+1/Rb)、よって、抵抗は125kΩ。

ケーブルのカットオフ周波数を計算するために、
Fc=1/(2πRC)の計算式に当てはめます。

計算する時は、kΩはΩに(0を3つ足しましょう)、
pFはFに変換しますが、「pF=10-12乗F」です。

0の単位が左に12個ズレます。
1なら、0.000000000001です。

ではカットオフフリーケンシーを計算します。

1.5mを例にすると、1/(2π×125kΩ×362.41pF)。

エクセルを使うと簡単です。
=1/(2*PI()*125e3*362.41e-12)

計算結果です。
1.5m=3,513.3=3.5kHz
3.0m=2,426.0=2.4kHz
10m=992.6=992Hz
1.5m=3.5kHz

1弦24フレットの基音は、E6/1,3kHz(1,318.510Hz)です。

基音には影響ありませんが、倍音成分に影響があるといえます。
3.0m=2.4kHz
これもギターで演奏できる基音を超えています。
10m=992Hz
1弦19Fと20F間の基音になります。

弦とフレットに対応する周波数と音程は、
過去記事 音程と周波数1 でギターとベースについてまとめています。

先の計算で、10mケーブル以外では基音に影響なく、
倍音成分に影響があると書きました。

では、実際にギターを弾いた時の周波数分布を見てみましょう。

ギター 6弦開放 周波数帯域 原音とアンプの比較
左がクリーントーン、右が歪みエフェクターを通した時です。

過去記事 音程と周波数2 にあるように、
基音と倍音成分は、歪み系エフェクトを使用すると
1kHz~10kHz辺りにクリーントーンでは見られなかった
「ロックの魂」成分を見ることができるのです。

ここにカットオフフリーケンシーを持ってこられては堪りません。

それに録音後、「そこに有る成分」をEQでカットすることは簡単ですが、
「希薄な成分」を持ちあげると、薄っぺらい音やシャカシャカした音になります。

簡単に言えば、なるべくなら無いより有った方が良いと。
短いケーブルなら長いケーブルより、オイシイ成分が多いよと。

たったこれだけのことをダラダラと書いています。(^^;

長文ついでに、CANARE GS6 で計算してみましょう。

CANARE GS6 の静電容量は、160pF/mです。
アンプの容量(200pF)とケーブル容量と足すとそれぞれ、
1.5m=440pF
3.0m=680pF
10m=1,800pF

F0=1/(2πRC)の計算式に当てはめます。
1.5m=2,893.7=2.8kHz
3.0m=1,872.4=1.8kHz
10m=707.3=707.3Hz

1.5m=2.8kHz=1弦24フレットの基音以上です。
3.0m=1.8kHz=これも基音以上。
10m=707.3Hz=1弦13Fと14Fの間の基音。

基音で言えば、余程長いケーブルでないと影響無しと言えますが、
先程の説明のとおり、歪み成分に影響します。

昨日のケーブル測定で、CANARE GS6とベルデンを比較し、
CANARE GS6 の高域特性がベルデンより低かったのは、
この計算結果により、証明できました。

何dBの影響があるかと言えば、
更に話が長くなるのでまたの機会にでも。

補足ですが、CANARE GS6 が悪いと言っているのではありません。
CANARE GS6 は大変良いケーブルです。
作成したケーブルでも GS6 の使用率高いです。

要は、組合せの問題と好みの問題です。

このように、ケーブルの長さはノイズの混入以外にも
ローパスフィルター(ハイカットフィルター)にもなり、
これが、ケーブルの特性(特徴)ともなり、
意図しない影響を与える要素にも成り得るのです。

長いケーブル(シールド)を使用すると、
「音がヤセる」「音がクモる」「音がアセる」
このように感じる場合もあるのです。

微々たる影響とも言えますが、
知らないよりは知っておいて損はないよというお話でした。

何かの参考までに。



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コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ギターからアンプへのケーブルを通る信号は
    クリーントーンじゃないですかね?

  2. MOMODON より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    名無しさん、こんばんは。
    ギターとアンプの間にエフェクターを挟む場合もあります。
    仮にアンプ直でもそのクリーントーンに対して
    ドライブさせるので、もとの信号に影響がないに
    越したことはないと思います。
    ただし、全てをトータルしてギターのトーンなので、
    ケーブルの音も含めて好みに当てはまることもあります。
    短い場合は影響が少なく耳で判ることは少ないですが、
    私は基本的にケーブルはトーンコントロールだと思っています。(^^)