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位相

2014/10/27

位相(Phase)について書いてみます。

複数のマイクで同じ音を録音した場合や
同じ音をDAWで別トラックにコピーして
別工程で処理を行った場合に位相の問題が発生する場合があります。

fs01.gif
上の図はAのマイクとBのマイクが
正しいマイキングで録音された時の波形イメージです。

2本のマイクの正相と逆相が一致しており、
また時間軸も同じになっています。

では位相が逆になっているとはどういうことでしょうか。

fs02.gif
上の図のCとDではエネルギーが逆になっています。

これを位相が逆になっているとかディップであるといいます。
このままでは解りにくいのでミックスしてみます。

fs03.gif
上の図のEはミックスした状態ですが、
正相のエネルギーと逆相のエネルギーが互いに打ち消し合うので
Fの図のようにエネルギーは相殺されてしまいます。

もちろんこれは極端な例ですが、
実際は音が籠ったり薄くなたっり小さくなったりします。

これを応用したものが、ボーカルキャンセル機能や
ノイズキャンセル機能です。

ボーカルキャンセル機能の原理は、
中央に定位しているボーカルの周波数のみを抜き出し、
これを逆相にして本来の音源にぶけます。

正相と逆相とでエネルギーを相殺し、
ボーカルをキャンセルする仕組みです。

中央に定位していることが多いボーカルを狙った機能なので
中央に定位していないボーカルはキャンセル出来ませんし、
弊害として中央に定位している他の楽器もキャンセルされて
しまいます。

この機能はキャンセルといっても完全に無くなる訳ではなく、
実際は聴覚上小さく聞こえるというものです。

また、周囲の雑音をカットするノイズキャンセルイヤホンや
ヘッドホンも原理は同じです。

ヘッドホンもしくはイヤホンに周囲の雑音を集音するマイクを
設置し、実際に聞こえるエネルギーの方向とは逆のエネルギーで
ヘッドホンやイヤホンから出力します。

これにより実際に耳に入る雑音は、ヘッドホンやイヤホンから
出力される逆エネルギーの音と相殺され、周囲の雑音が小さく
聞こえるという仕組みです。

カーオーディオにも応用されています。

エンジン音、タイヤからのロードノイズ、様々な部品からの
共鳴及び振動ノイズをマイクで集音し、逆エネルギーとして
スピーカーから出力します。

これにより、周囲や車自身から発生するノイズの影響を
軽減した状態で音楽が楽しめるというものです。

話を戻します。

最後にピークのズレです。

fs04.gif
これはマイクを設置した場所と音源との距離がGとHの
マイクで等しくない場合に発生します。

過大ピークの発生や音の籠り(抜けの悪い音)やウネリ、
ペラペラな音になったりします。

これを美味しい部分だけ意図的に狙って再現させる
エフェクターでフェイザー(Phaser)というものがあります。

そもそもはロータリースピーカー(レスリースピーカー)の
効果を再現させるため等に用いますが、このフェイザーは
少し前まではフェイズシフター(Phase Shifter)と呼ばれて
いたように、フェイス(位相/Phase)をシフト(移動・変化/shift)
させるエフェクターです。

フェイザーは任意の割合で逆相の音を混ぜる
エフェクターという訳です。

聴覚上同じように聞こえるエフェクターとしてコーラスと
フランジャーがありますが、これらのエフェクターの
原理はディレイとフェイザーをミックスしたものです。

ともにディレイ音を逆相でミックスしてコーラス効果や
フランジング効果を発生させます。

ディレイタイムが短かく、逆相の音との割合が少なければ
聴覚上はフェイズシフターとフランジャー、コーラスは、
機種の特性によっては同じような効果に聞こえる場合があります。

音のウネリでは一般的にコーラス<フェイザー<フランジャーと
なっている場合が多いです。もちろん設定によってはこの限りで
ない機種も多いです。

話を戻します。

複数のマイクで録音する際には位相の問題に対処する
必要がありますが、フェイザーやハース効果は位相が
なければ発生しない現象なので、もっと身近に感じてみませんか。

というお話でした。
何かの参考までに。

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