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バイアス調整

2014/10/11

真空管はその機能によりプリ管、パワー管、整流管があります。

プリ管は「電圧」を増幅し、
パワー管は「電圧」と「電流」を増幅し、
整流管は「交流」を「直流」に変換します。

プリアンプにはプリ管、パワーアンプにはパワー管が使われています。

この事から想像がつくように、プリ管では電流を増幅しないので、
スピーカーを駆動するに必要なレベルまで増幅させることが出来ません。

プリ管の役割は微弱な信号を
パワー管が扱えるところまで増幅させるのが主なお仕事です。

ギターアンプでは、
プリ管では12AX7、パワー管ではEL34やEL84等がよく使われていますね。

余談ですが、ギターアンプでいう「フルチューブ」アンプとは、
整流管を使用していない、プリ管、パワー管のみでもフルチューブと呼びます。

整流管は直流電圧を作るので音の信号とは別問題ということです。
整流管を使用しない場合はシリコンダイオード(ソリッドステート整流)で
直流電圧を作りますが、真空管より安定した直流電圧を供給できるので、
最近のギターアンプ等ではソリッドステート整流が主流です。

基本的に、プリ管と整流管は同じ規格の真空管に交換するだけなので、
手軽に手持ちの機器の音質変化を楽しむことができます。

ただし、電流を増幅するパワー管の交換には注意が必要です。

パワー管はバイアス調整といって、
無信号時のバイアス電圧を調整する必要があります。
調整しないとプレート電流が定められた電流となりません。

しかしバイアス調整が出来ない機器やアンプが存在します。

バイアス調整について簡単に書いてみます。

自己バイアス方式と固定バイアス方式があり、
固定バイアス方式には電圧可変型と電圧固定型に分かれます。
先程、プリ管は同じ規格の真空管に差し替えるだけと書いたのは、
12AX7に代表されるプリ管は自己バイアス方式を採用しているので、
バイアス調整の必要がなく、真空管を交換するだけで良いのです。
なので調整する箇所も用意されていません。

ではパワー管で自己バイアス方式はあるのでしょうか。

実は比較的出力の小さいアンプではパワー管においても
自己バイアス方式を採用している機器があります。

パワー管にEL34、EL84を採用しているアンプでは
自己バイアス方式であることがあります。

この場合はプリ管と同じで、
同じ規格の真空管に交換するだけで音質変化を楽しむことができます。

問題は固定バイアス方式を採用した機器のパワー管交換です。

結論からいうと電圧固定型ではバイアス調整が出来ないので、
メーカー推奨のものと交換するしかありません。

もしくは自力でメーカー推奨の真空管の電気的特性を調べて
同じ特性の真空管に交換するしかありません。

固定バイアス方式でも電圧可変型はバイアス調整を行なう事によって、
真空管交換を行なうことが可能です。

この場合は、アンプを持ちこんで費用を払ってお店の方に
バイアス調整を行なってもらう事になります。

もし、お店の方にバイアス調整が不要と言われたら、
そのアンプは調整出来ない仕様である固定バイアス方式を採用した
電圧固定型のアンプであるか、パワー管に自己バイアス方式を
採用したアンプのどちらかとなります。

先に書いたとおり、
自己バイアス方式であれば好みの真空管に挿し替えるだけ。

電圧固定型であった場合は好みの真空管では無く、
メーカー推奨と交換することになります。

では、電圧可変型で同じ銘柄の真空管に交換する場合、
バイアス調整は必要なのでしょうか。

正確に言えば、真空管には個体差があるので
同じ銘柄の真空管に交換してもバイアス調整は必要です。

数ある中から特性が同じ2つをペアで販売する「マッチドペア管」が
あることを考えれば、真空管には個体差があることが判ります。

マイクでもステレオ録音用にモノラルマイクをセットで販売するもののなかに、
特性が同じ2本のマイクを選別した「マッチドペア」があるように、
ギターでも同じ機種型番でも音が1本1本異なるように、
真空管にも個体差はあるのです。

しかし、アンプの説明書に
「本機は固定電圧型のバイアス固定法式を採用しています。」等と
記載があれば良いのですが、書いてない場合は回路図を入手して確認するか、
メーカーに問い合わせて確認するしかありません。

真空管交換による音の変化は大きいので、楽しみの一つとなるものですが、
実際に交換するとなるとある程度の事前情報と知識が必要ですし、
真空管交換の為に機材を分解すること、また真空管の交換自体が
メーカー保証外となり、保証期間中であってもその時点で保証が
終了となる場合があるので注意が必要です。

何かの参考までに。

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