・Requiem~a novelette~

第34話 突入の刻

2014/11/08

レイモンド隊の動きが止まった。

捕虜の町は直ぐ前だ。

レイモンドがサインを出す。

アレクシスとクレイグの隊の方向に手が動いた。

『行け』

心の中にレイモンドの声が聞こえた。

そして3つの隊はV字型となって、ゆっくりと、そして静かに、

捕虜の町に向けて再び進行を始めた。

風が一瞬強く吹いた。

次の瞬間。

レイモンドの隊は立ち上がり、そして声を上げて・・・。

捕虜の町の正門めがけて突入を開始した。

激しい銃声が鳴り響いているハズだ。

しかし俺の耳には何も聞こえない。

まるでスローモーションを見ている様だった。

町にゆっくりと灯りがつきはじめた。

異変に気付いたのだ。

今頃、中の兵は武器を手にして正門に向かっているのだろう。

正門にまだ敵兵の姿は見えない。

町の見張り棟からヒドラの兵が墜ちて行くのが見えた。

ヒドラの兵が正門に集まり始めた。

俺達は町の外壁の脇に到着した。

もうここからレイモンド隊の姿は見えない。

さよなら、そしてありがとう。レイモンド大佐。

俺は心の中で呟いた。

そんな表情を察してかアベルが話かけてきた。

「トライオード、戦場に感傷は不要だ。」

「死んでいく仲間の為にも前だけを見て進め。」

俺は素直に頷いた。

背後から音だけが聞こえてくる。

銃声。

壁が崩れる音。

物が倒れる音。

雄叫び。

悲鳴。

断末魔。

これが戦場というものなのか。

あまりに惨い、惨すぎる・・・。

俺は耳を塞いだ。

俺達の隊は町の裏に到着した。

アベルが壁の破壊に取りかかった。

案の定ヒドラの兵はいない。

正門に集中しているようだ。

しかし鉄線に阻まれて思うように破壊が進まない。

アベルが隊に声をかける。

「時間が無い!」

「急げ!」

それを聞いた隊に力が入る。

やっとの思いで人が3人ばかり通れる幅の穴が空いた。

そこからクレイグとアベルの隊は町に突入していく。

先程と比べて静かなる突入だ。

声を上げず、身を屈めて、物陰に隠れながら。

クレイグとアベルの隊は町に散っていった。

アレクシスの隊はこの場に残り、出てきた捕虜に道を伝える。

そして出てきたヒドラの兵を撃つ。

アレクシスは目で俺に合図をした。

『行け、トライオード。』

俺はアレクシスに一礼し、そして町に入った。

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