・作曲/理論/音響

温度と湿度と楽器

2014/10/20

連日の雨で部屋の湿度は70%を超えています。(^^;
エアコンのドライと除湿機が活躍中の我が家です。

さて、雨の日などに楽器の音が違うと感じることはありませんか。

結論から言えば、「楽器のコンディション」、「音の伝わり方」、
「環境」、「体調」という4つの要因でそのように感じることになります。

まず、最初に「楽器のコンディション」についてです。

ギターネック
私はエレキギター弾きなのでそれを例にすると、
ギターは木材で出来ているので、温度などの影響を少なからず受けてしまいます。

特にネックは湿度による膨張が「反り」という形になって現れます。

このことによってチューニングが変化し、
オクターブチューニングにも微妙なズレが生じます。

チューナー
冬にギターを弾いていて、部屋が暖まったころチューニングが低くなっている。
また、夏にはこの逆の経験はありませんか。

これは、温度もそうですが、相対湿度による影響もあるようです。

これに加えて膨張により、各パーツと噛みあわせ(組合せ)に少なからずの
変化が現れ、「摩擦」が発生する箇所に影響がでることと思います。

また、「材」が水分を含む事による振動の伝搬に変化が現れ、
俗にいう「籠った音」として聞こえる場合があります。

しかし、通常これらは微細な変化であるはずで、
極端な変化を伴うものではないと思います。

但し、安価な「材」や「設計」によって、
顕著に表れる楽器も存在する事も確かです。

昔、安価なストラトを使用していた時、
冬場になるとトレモロの「スプリング鳴き」に悩まされました。

部屋を暖かくすると鎮まるのです。(^^;

ギターも最近では1万円もあれば買えるものから、
特殊な意匠や付加価値を除いたものでも数十万円するものもあり、
価格に幅があります。

高価なギターに使用されている「材」や「設計」は、
これらの影響を受け難いものとなっていることは想像に易いと思います。

ちなみに、ギターの適正湿度は50%前後。
エレキは多少高めでもOKで、アコースティックは50%を切る位が
鳴りが良いと言われています。

次に、「音の伝わり方」ですが、
温度と湿度で音の伝わる速さ等が変わります。

夏の雨の前や湿度の高い日は、いつもより遠くの音が聞こえるそうです。
私は意識した事はないので、あくまで一般論です。

音の屈折
通常、温度・湿度が一定なら音の速度も一定です。

しかし、音(音波)は、
温度は高い程、音は速く伝わります。
湿度も高い程、音は速く伝わります。

音も光と同じように屈折というものがありますが、
これは、音の速度が変わることで屈折がおこります。

音の屈折
上(上空)に行くと温度が冷えるので、地表より音の速度が遅くなる。
よって、音は進行方向から上方向に屈折します。

ただし、放射冷却というものがあり、逆の温度変化が起こった場合は、
理論的に先程と逆の屈折が起こる場合があります。
すなわち下方向への屈折です。

昼と夜を比較すると、夜の方が遠くの音が聞こえやすいのは、
日中と比較し騒音が少ない(マスキング効果が起こりにくい)ことも
ありますが、多少は関連があるかもしれません。

音の屈折
大きなステージでは、演者付近は照明や設備、機器などで温度が高い。
ステージから離れると観客の熱気による温度上昇も低い。

実際問題こんな極端なことには成りえませんが、
理論的には後ろの方は「分が悪い」といえます。

余談ですが、音には速度があります。
気温15℃、1気圧の状況での音の速度は340msです。

1秒の1/1000が1msecなので、340m/s÷1000=0.34m(1msec)。
ステージから観客席までの距離が100mなら、
100m÷0.34m=294msec の音の遅れが生じます。

拳が波打つ訳です。

さらに余談ですが、中間地点にスピーカーを置く場合は、
実音が遅れて到達するので、ディレイを掛けて補正しています。

話を戻します。(^^;

次に「環境」についてですが、温度・湿度により演奏を行なう部屋、
すなわち環境にも変化があります。

DAW部屋 ドラム
壁材の膨張等の変化により、音の吸音や反射に変化が現れます。
このことが、普段と異なって聞こえる要因となっています。

一般的に、スタジオ等では温度湿度による影響が少ない防音壁や
室内材を利用しています。

これらは、全て顕著な音の変化とならない場合が多いのですが、
温度、湿度、室内環境、使用楽器等の条件が悪い方向に揃えば、
「音の変化」として感じることがあります。

また、温度、湿度でいうと理論的に「そうならない」ことが
起こる場合もあるようです。

これは、使用している機材の変化により環境的な理論とは
逆の事象が起こることを指します。

スピーカー
例えば、音の伝わり(空気の振動)、湿度、温度で言えば
プラス方向に働くことが、マイクやミキサーなどの機械的な
機材の影響や電気的な影響でマイナスに働くことも考えられます。

スピーカーのコーン紙やDC型コンデンサマイクのダイアフラムなど、
湿度によって何らかの音の変化はありそうです。

私は、物理には詳しくないのでこの程度のことしか判りませんが、
なんとなくこんな感じということで読んで下さい。

実のところ、私には温度や湿度でネックが反り、
チューニングが狂うしか、実感がありません。

「温度湿度によって楽器の音色が変化し、録音に影響がある。」

この様な経験がないので、私の耳が「おバカ」なのか、些細な影響で
しかないのだと思います。(チューニング以外)
もちろん、私のようないい加減な人は少ないほうで、
趣味であっても、シビアな方もいらっしゃると思いますし、
プロにあっては相当な神経を使っているものと思います。

最後に「体調」について。

正直、これは私には判りません。(^^;
「雨の前に膝が痛くなる。」
「頭痛がするので雨が近い。」
「雨の日は耳鳴りがする。」

こんな話を良く聞きますが、このメカニズムを私は説明できません。

温度、湿度、天気が関係して心因的な感じ方の違い
ということもあるのでしょう。

もちろん、音が違って聞こえる要因はこれだけではないのですが、
脳や耳という器官を現代医学でもそのメカニズムを説明しきれてないので、
素人の私には「お手上げ」であり「降参」です。(^^;

とどのつまり、
全く同じ機種でも微妙に音が違うのが楽器。
理論や理屈では測れないのも楽器。
最後に行きついた答えでした。(^^;

何かの参考までに。

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